六号車で、なぜ火星や金星の大気がすべてCO2なのに、地球だけが窒素と酸素なのかという解説をしました。

簡単に言うと、地球も出来たばかりの時には、CO2ばかりだったのですが、やがて(約8億年後)に生物という「無生物」ができて、CO2を分解し始めたのです。

太陽の光があり、海があれば、CO2を分解するのは別にそれほど難しいことではなく、単に「分解触媒」ができれば良いのです。

この世の中は「物理化学反応」に満ちています。雲ができるのも、雨が降るのも、ウィルスがインフルエンザを起こすのも、卵焼きを作るのもすべて物理化学反応ですが、その中には「命」というものが必要な場合もあれば、単なる「触媒」が必要だというものもあり、さらには何もいらないけれど「自然に起こる」というものまでさまざまです。

だから、地球上に「CO2の分解触媒」ができても、特に不思議ではありません。

その分解触媒がやがて「複製を作り(子ども)、呼吸をし(エネルギー)・・・」となって生物となっていったというだけです。

宇宙ができて、5つの元素が誕生し、それから水、大気(CO2)、土、鉄ができれば、次の段階で生物が誕生するのは当然でもあります。また、金星のようにあまりに太陽に近いと暑くてダメですし、火星のようにあまりに冷えていてもダメということで、地球と太陽の距離が適当だったからです。

化学反応が進むためには、科学者が「その反応が起こるために適当な条件」を選びますので、どんな状態でも反応が進むと言うことはありません。やはり「適当な条件」というのが必要なのです。

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脱線しますが、かつて「プラスチックを焼却するとダイオキシンなどの毒物がでる」と言われたことがありました。それについて2000年に私が本の中で「プラスチックを燃やすと毒物がでるのではなく、毒物がでる条件で燃やすとでる」という説明をしましたが、当時はダイオキシン全盛時代だったので、ほとんど顧みられませんでした。

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命の誕生も同じで、どんな条件でも命が誕生するのではなく、大気にCO2、海に水、そして太陽の光の強さが適当、という3つの条件が必要だったのです。

人間は自分が生物ですから、どうしても生物は特別なものと考えがちですが、一度、自分から離れてみるのも良いのではないかと思います。

(録音で少し付け足しました。クリックすると聞こえますが、スピーカーかイヤホンの方が良く聞こえます。)

(平成22411日 執筆)

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