民主主義とはやっかいなものである。

多数の人が賛成することを「正しい」として、それを進めるのが良いと考えるが、それでは多数の人の考えと違う人はどうでも良いのか(少数派をどうするか)や、「多数派工作」は正当かなどがある。

IWCと呼ばれる国際捕鯨委員会は、最初は「捕鯨をどうするか」ということで「捕鯨に関心のある国が集まる」ということだったが、多数決をするということになると「捕鯨に関係が無い国」を多数派工作で集める。

かくして、捕鯨の関係のある国は数カ国に過ぎないが、今は88カ国が加盟している。

世界の地域毎に捕鯨支持、反捕鯨の国をまとめると次のようになった。

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アジア、アフリカ、オセアニアなど「お米の文化」のところは、もともと「魚とお米」だから海との関係が強く、クジラは食習慣の中に入っている。だから捕鯨支持である。

これに対して、ヨーロッパ、アメリカ大陸(ヨーロッパの植民地だった)は「小麦の文化」であり、「肉と麦」だから海はあまり関係がなく、反捕鯨である。

捕鯨支持、反捕鯨と言っても、「お米の国」と「麦の国」の戦いである。

反捕鯨の国の多くは「反対の多数派工作のためのかり出された国」である。特にヨーロッパのように国が小さく分かれているところは有利だ。

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「白鯨」という小説を読んだことがある人が多いだろう。アメリカは石油万能の時代が来る前に、鯨油が必要だったので、大量のクジラを捕獲した。

おそらく、現在のクジラの資源にはアメリカの捕鯨が大きな影響を与えているが、アメリカという国は「過去は知らない」、「恩という文字はない」という国なので、そんなことはお構いなく「自分がいらなくなれば反対」ということだ。

ノルウェーは毅然として捕鯨をしている。ノルウェーの強硬な態度が正しかったのか(シーシェパードがノルウェーの捕鯨船に乗り込んできたときに、海に投げ捨てた)、あるいはノルウェーが白人国家だからか、ノルウェーの捕鯨は認められている。

(平成22328日 執筆)