このシリーズでは、少子化が進んでもまったく年金には不安がないことについて書きたいと思います。

「まともに」計算したら、このまま少子化が進んでも、年金の支給年齢は59歳になります。「えっ!59歳? 69歳の間違いじゃないの?」と聞かれそうなのですが、本当に59歳からになりそうなのです。

だから、日本のお年寄りの将来はまったく明るいと思います。不安を一掃して、明日から元気に行きましょう!

でも、そのための準備に、まず二つのことが必要です。

1)  面倒だけれど、年金の仕組みを理解する。その時に、あまり細かいことに気を取られずに大きく構える。(木を見て森を見ずにならないように)

2)  なぜ、いま年金が問題になっているのか、その簡単な「本質」だけを理解する。

この二つが終わったら、「それでは自分の年金を確保するにはどうしたらよいか」を考えたいと思います。

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人間は必ず仕事を離れてからこの世を去る(お隠れになる)まですこしの間、仕事のない生活を送ることになります。この間は、仕事をしていないし、年をとって病気がちになるので、なにかとお金がいります。それが多くの人の心配です。

ところで、まず最初に、「年金」というものが日本ではどのぐらい昔からあったのでしょうか?

今から60年ほど前の、第二次戦争のその前は、軍人や一部のお役人は年金(恩給)がありましたが、普通の人たちには年金のようなものはありませんでした。

最初に、歴史を振り返ってみましょう。次の表には日本の年金制度をまとめて書きましたが、日本の年金制度は1954年に厚生年金が、7年遅れて1961年には会社に勤めていない人でも年金がもらえる制度、つまり国民年金制度が発足しています。
(出典:平成11年度版 年金白書 「21世紀の年金を「構築」する」)

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でも、最初に作った年金制度は欠点がありました、最初に約束した年金は、自分が若いときの物ですから、その時の物価に左右されます。だから、すこし時間が経つと、若い頃、あれほど苦労して納めた年金がタダ同然に変わってしまったのです。

そこで、制度ができて12年目には、早くも「物価スライド、賃金スライド」制・・・つまり物価が上がったり、賃金が上がったりするのに合わせて年金の支給額も変わる・・・というようになったのです。

その後、さらに複雑な制度の改正があって、徐々によくなっては来ましたが、複雑になったために「国民のための年金」が「一部の専門家だけがわかる複雑な年金制度」になってしまいました。

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もう一つ知っておかなければならないことがあります。それは、「制度は出来たけれど、実際にはどのぐらいの人が加入していたの?ということです。

簡単にいうと、制度が出来ても誰も入っていなければ、無いも同然です。そこで、加入者の状態を当たってみました。

すこし複雑なグラフなので、説明の方だけを読んでもらっても良いのですが、とりあえず、グラフを出しておきます。
(出典:平成11年度版年金白書、「21世紀の年金を「構築」する」、統計局、「日本の長期統計系列」)

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1961年に年金の制度ができたものの、なんと言っても出来たばかり(年金を払い始めたばかり)ですから、それを受け取る人はゼロです。

始めて受け取る人が出てきたのはそれから10年後ぐらいの1970年です。つまり60歳から年金を受け取ることが出来たので、50歳で年金に加入した人が、10年後に年金を実際に受け取るようになったという訳です。

それでも、「全員がもらえる」というのとはまったく違って、たとえば1990年には60歳以上の人が2200万人おられたのですが、年金をもらった人はその半分の1100万人でした。

つまり1990年、今から20年前にはまだ、年金はお年寄りの半分しか受け取れなかったと言うことです。

そして、当時、どのぐらいの保険料を払っていたかというと、次のグラフで判るとおり保険料は8000円ぐらいでした。

(出典:米沢市ホームページ、市議会「市政の概要(17年度)」国民年金)

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つまり、今からたった20年前になっても、おおざっぱに言うと国民の半分ぐらいのお年寄りが、ほんのすこしの年金を払っていたということが判ります。

【第一回目の復習】

1)  少子化になると年金の支給年齢が59歳になる(69歳ではない)。

2)  日本の年金は1960年頃から始まった。

3)  それから30年たった1990年でも、かなりのお年寄りが年金がなく、また保険料も少なかった。

日本の年金制度というのは、本当に最近、はじまったもので、「今までが準備期間で、これからが本格的に作る時代」と思います。

その矢先に、社会保険庁という年金を扱うお役所がメチャクチャなことをしていたということになり、今のところ国民もあまり年金のことを考えたくないという雰囲気ですが、本当は「今が絶好のチャンス」であることも判ると思います。

(平成22310日 執筆)