宇宙が誕生してからまもなく、元素が誕生した。

元素は星や土のもとになるものだから「永遠の昔」からあるように思うけれど、今、私たちの目の前にあるものすべて・・・それが瀬戸物であろうと、命だろうと、すべては「途中でできたもの」である。つまり「誕生したから、今ある」。

「時」も「空間」ですらも、最初は無かったが途中で出来た。時と空間だけは途中と言っても最初に誕生したのだが、何もないところをスタートとすれば、これも途中である。

だから、もちろん最初は元素も物質もなかったのだが、途中でエネルギーから元素できた。

もう少し丁寧に言うと、エネルギーからクオークができて、それが次第に集まって原子核や電子になった。そしてさらにエネルギーが低くなってくると、原子核は自分が電気的にプラスであることに気が付き、電子はマイナスだと感じ、そしてプラスとマイナスが合体して原子が誕生した。

難しく言えば、最初に、「時間と空間」ができて、その後、「重力、電磁力などの力」が分かれてきて、原子が現れてきたのだ。

宇宙の誕生はここまでで一段落したが、大きな変化だった。時、時間、重力が、1秒も経たないうち(その時の時間の感覚は今と違うから1秒といっても長い時間だったと思う)にそろった。

続いて3分後には原子核が、30万年後には電磁力が活躍初めて、原子が誕生する。

そして10億年後、星や銀河が誕生して、今日に至る。

私たちのルーツがここにあり、そしてこのときの影響が今に及んで、私たちの生活を支配している。私たちが年を取るのも、老化するのもこの瞬間に決まっている。

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Photo 

宇宙が誕生してまもなくの銀河、それを130億年後に生きている私たちは「目で見ること」ができる。それがこの写真だが、この写真は今の写真ではなく、130億年前の景色を見ているのだ。

実におもしろい。宇宙では「過去」をこの目で「今」見ることができる。だいたい、天文学者とうのは、何となく霞を食べていて、ロマンチックだが、それは彼等がいつも「過去を見ている」からだろうとわたしは思う。

それも「宇宙が誕生した時の星」などと言われると、それだけで感心してしまう。光の速度は有限だと言われても、目の前に見える物がすでに過去の物だとは到底考えられない。

でも、空を見れば「8分15秒前の太陽」しか見れず、今の太陽は見えない。もし今の太陽を見ようと思ったら、8分15秒後にもう一度、外に出て空を見上げなければならないが、その時には周辺の景色は8分15秒後になっているので、太陽も違って見えているのだろう。

地球の最後に太陽が無くなったとしても、8分15秒だけは太陽を拝むことができる。すでに太陽は無くてもその姿は8分間は拝めるからだ。

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原子核と電子が結合すると水素ができる。そして水素が2つくっつくとヘリウムだ。その間、宇宙は急激に拡がっていく。

水素と水素がぶつかるためには、一つの水素と一つの水素が近いところに無ければならないが、宇宙が膨張しているので、すぐ水素は別の水素とぶつからなくなった。

かくして、宇宙は、水素とヘリウムまでができて、終わってしまった。酸素も鉄もない。できないうちに宇宙は落ち着いてしまった。

もし、このままで終われば、私たちは今ここにいない。

(平成22225日 執筆)