4月から流行が始まった「新型インフルエンザ」もやがては「スペイン風邪」とか「香港型」というような名前で呼ばれるようになるだろう.メキシコからはやりだした(最初はアメリカではないかとも言われている)ので,メキシコ風邪と呼ばれるかも知れない.

夏に一段落していた新型インフルエンザが9月からまた流行しだした.もっとも,今では季節性インフルエンザと新型インフルエンザの区別をしていないので,どちらだか分からないが,「今までの」季節性インフルエンザの流行時期からずれているので,おそらくは新型インフルエンザと考えられている。

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上のグラフは国立感染研究所が発表しているものだが,横軸が正月から数えた「週(week)」で,縦軸が流行病の状態を把握するために決めている「定点」での患者数である.

7月,8月はほとんど患者さんは見られなかったが,9月から数が増えて,先々週は13人ほど(09年の赤い線の一番,右),先週はどうも20人を越えたようだ。

とりあえずはインフルエンザにかからないように防御をしておく必要がある.まずはマスク,うがい,手洗いというところだが,インフルエンザウィルスは熱にも弱いので,生のものを余り食べないというのも防御になるだろう.

特に,外で食事をする人は生野菜などを食べると,調理する人がインフルエンザの場合は感染する可能性が高くなる。

インフルエンザと言うのは人間,トリ,ブタに共通して感染する人獣共通病だが,動物の場合には糞から口へと感染することが多いと考えられている。

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毎年の「季節性インフルエンザ」の患者数が1000万人から1500万人に対して,今回のインフルエンザは日本で5000万人近い人が感染するのではないかと予想されている.

それは,季節性の場合,一人の患者が移す人の数が1.3人なのに対して,新型は2.2人と言われているからだ.

一回の感染ですめば,うつす人が1.3人なら1000万人なら,2.2人なら単純比例で計算すれば1700万人になるだけですむが,うつった人がさらにもう一度移すと,1.3の二乗だから1.69人,2.2人の方は4.84人となり,1.7倍ではなく,2.9倍になり,つまりは2900万人が感染することになる.

だから,「何万人が感染するか」というのは,インフルエンザの人が「どのぐらい,外を歩き回って,他人にうつすか」ということで決まってしまう.

インフルエンザの患者数は,まだもっとも多かった時期の5分の1以下だった10月の始めに,すでに全国で6000校以上の学校が休校になっているのは,新型インフルエンザに注意して,接触を少なくしていることを意味している.

もし,10回も次々と感染したら,日本人の20億人が感染するという計算になるが,日本人はもともと12千万人余しかいないから,そんな事は起こらない.

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ウィルスの感染は,「感染している人」と「感染していない人」が接触しないと感染しないから,まだ100万人が感染しているときには,周囲に感染していない人が1億人以上いる(1人の患者の周りに120人の感染していない人がいる).でも6000万人も患者がでたら,感染していない人は1人になるから,感染確率はこれも単純な比率で120分の1になってしまう。

つまり,早い内に多くの人が感染してしまえば,感染する確率が減ってくるということになる(正確な確率計算は少し複雑だが).

ところで,薄い線で見にくいが,グラフで一番,患者数が多かった2005年には定点観測で50人の患者さんが出たが,このときのカーブの形は「滑らかなピーク状(正規分布)」になっている.

これは流行すると周囲に感染していない人が多いので,患者数が増え,患者が増えてくると「感染していない人の数」が減るのでピークを打つ.

さらに一度,感染した人には免疫ができるので,感染した人の体の中にいるウィルスが死んでしまうまで,「感染していない人」に会わなくなって流行は終焉する.

実に理窟通りに進んでいる.

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もう一つは,6月頃,いったん下火になったということで,まさに「季節性」だから「暖かく,湿っぽい」ことが最善だ.だから「温暖化」すればよいことの中に「インフルエンザが減る」というのも入れておきたい.

(私はどうも温暖化でよいことが起こりそうな気がしているので,このように考えてしまう.)

(平成211024()