壺井栄の「二十四の瞳」,そして竹山道雄の「ビルマの竪琴」・・・原作も素晴らしいし,それを映画にした木下恵介,市川崑監督の腕も大したものだ.

詩情あふれ,哀愁,そして人の情・・・・・・

第二次世界大戦で日本軍はインドシナに進駐し,タイからビルマに進軍した.補給線は長くなり,地形は複雑,しかも亜熱帯の過酷な風土が兵士を襲う。

ビルマ戦線には悲劇が数多くある.

降伏を勧告する伝令に向かった水島上等兵は,そこで無残な姿を晒したまま鳥に蝕まれる多くの日本兵に衝撃を受けて,みずから僧侶になって弔うことを誓う。

「最後の一人まで弔うのだ.それまで自分は帰らない」

死んでいった同胞と自分はなにも変わらない.裸の山肌に遺骸を晒す彼等は自分である。

一方,水島上等兵を伝令に出した部隊は,彼を捜して一緒に日本に復員しようとするが,それはかなわない.遙かに聞こえてくる竪琴の音が彼の存在と決意を伝えてくれる。

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人は食べるために生きているのでは無い.お金のためでも学問のためでもない.

人は情に生きているのである。情のない人は単なる化け物に過ぎない・・・

バ・モウ首相(ビルマ)

「我々を白人支配から救い出してくれたのは日本だった.我々は大戦終盤に日本を見限ったが,その恩は忘れない.日本ほどアジアに貢献した国はいない.」

第二次世界大戦における日本の貢献をあまり強調しすぎてはいけないかも知れない.特に私のように戦後,「極悪日本」という教育を徹底的に受けた人間としては,なんとなくそう言わないといけないような感じがするが,それは幼い頃の教育で私の頭がすっかり洗脳されたからだろう.

ビルマは第二次世界大戦で,日本軍が進軍した最先端だった.だから,敗色濃厚になったときに地理的にも日本を裏切ることができた.

先回,解説したインドはさらに日本から離れているので,日本軍の被害は少ない.だから日本の貢献を大きく評価しているという見方もある.

それでは果たして,日本に近い国で日本軍が進駐した国は,どんな評価をしているのだろうか?

(平成21101()