やしきたかじんさんと辛坊治郎さんがおやりの「そこまで言って委員会」で,宮崎哲弥さんが良い質問をしてくれた.

宮崎さん「先日,「朝まで生テレビ」を見ていたら,武田先生は温暖化についてあまり反論していなかったけれど,あれはどうしたのか?」

という趣旨だった.

武田 「このまえ,この番組に出たときに三宅さんから同じ質問を受けたのですが,温暖化するという学者の研究も立派で,一方,私の横におられた丸山教授の寒冷化もシッカリした根拠に基づいている.

だから,温暖化するか,寒冷化するかは判らない.学問には分からないものがある.分からないものは分からないとはっきり言うのが大切.」

とまず発言させてもらい,続いて,

「よく「武田先生は温暖化と寒冷化とどちらを信じますか?」と聞かれるけれど,気温がどうなるかは科学の問題だから,宗教のように信じるか信じないかと言われても困る」

と言った.

これが私の基本的スタンスである.私は自分の書籍でも「温暖化する」とか「寒冷化する」ということはほとんど言っていない.私が積極的に示しているのは,「日本中が「温暖化する」と言っているが,寒冷化するというデータや研究もある」ということである.

でも,現在の日本では,両方の学説を均等に伝えると「温暖化懐疑派」に分類される.まるで,大政翼賛会か戦時中のような感じだ.

「朝まで生テレビ」では,温暖化を主張するグループが余りに団結していたので,出演者が「まるで共産主義のようだ」と発言していたが,確かに悪い共産主義は異論を許さない.それと今の「温暖化派」は似ている。

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私は,次のことだけはっきり言っている。

1) 温暖化しても大した被害が出ないが,寒冷化するとかなりの被害が出る.

2) 温暖化も寒冷化も積極的に対応すれば技術的方法がある.

3) 若い人が未来を暗く感じると研究する意欲も無くなり,それがもっとも危険だ.

「温暖化するかしないか」を議論しない方が良い.「温暖化するとどのような被害がでるのか」を中心にした方が良いと私は思う。

特に,まず第一に,「温暖化で日本に被害が来るか」ということと,「世界で,真っ先に被害がでるのは大陸の巨大国(アメリカ,中国,ロシア)である」ということをハッキリ意識した方が良い.

(平成21928() 執筆)