この頃,日本の環境はすっかり良くなって,なにも心配はないのだけれど,お金を取ろうと思って錯覚を蔓延させる人がいる.
それだけなら良いけれど,小学校の子供たちに「環境のために,あなたに何ができますか?」などという大人がいる.
この質問は,ゼッタイにしてはいけない質問なのだ.なぜなら,この問いかけの中に悪魔が棲んでいる.
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かつて「お殿様」がいて,その人が庶民に命令する.その命令を聞いた庶民は,「俺たちは,大きなことは決められないから,お殿様のいうことを守り,自分でできることをしよう」と思った.
先の太平洋戦争では,兵士が輸送船に乗せられて遙か南方の島に送られる。やっと上陸したものの援護は来ないし,アメリカ軍は毎日のように爆弾を落とす.
そこで中隊長が「貴様らのできることはなんだ!」という.それに答えて兵士は「はいっ! 突撃しますっ!」と答えて機関銃の前で死んだ.
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庶民はお殿様の言いつけを守らなければならない.兵士はアメリカと戦争するべきかとか,遙か南方まで戦線を拡大する必要があるかなど一切,意見を言ってはいけない.ただ,黙々と「偉い人の言いつけを守り,自分一人でできることしか考えてはいけない」・・・それがこの言葉なのだ.
今は,民主主義.つまりお殿様も関係が無く,民(私たち)が主(主人)なのだから,もともと民主主義に「私たちにできること」などという論理は矛盾しているのだ.
民主主義では民(私たち)はオールマイティーであり,「私たちは何でもできる」と言わなければならない.
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我々,大人は半分,民主主義なのだろう。まだ,経験も浅いし,「天下り」などということばを平気で使っているぐらいだから.
主人(庶民)の公僕である官吏が,民間に移動するときに使うべき言葉は「天下り」」ではなく,「下僕昇り」である.あまり,身分制を感じるような言葉は使いたくないが,しばらく「天下り」の代わりにマスメディアが「下僕昇り」という言葉を使えば,すこしは恥ずかしくなって「下僕昇り」を止める人もいるだろう。
私たち大人は,子供たちに主人としてのプライドを持たせなければならない.「君たちは,やがて日本国の主人になる人だ.だから,自分を小さくしないで,大きく構え,夢を持ち,プライドを持って進んで欲しい」ということを教えるべきだ.
そうすれば,勉強する気にもなるだろうし,やがて日本国はしっかりと物を考える人たちで運営されるだろうから.
(平成21年8月29日 執筆)