ある町のインタビューで,妙齢のご婦人が「選挙になると,いつも良いことばかりを聞くのに,実際にはちっとも良くならない」と言っていた.
実に,説得力のある,素朴な言葉だ.
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でも,それには明確な理由がある.「二世議員を規制しよう」というのも,この話のい続きだ.
実は,元凶は簡単なところにある.それは「議員になると,大金持ちになり,党の決定通り大過なく動いていれば,一生,楽に暮らせる」という,この世にも珍しいのが日本の議員の報酬だからである.
天下りどころではない.
役人の天下りが甘い汁を吸うと世間から批判を受けているが,それでもお役人の場合,50過ぎまで大過なく役目を終わり,それなりの功績はある.
ところが,議員の場合,若い議員が議員に当選したとする.それが地方議員なら,当選したときから年俸約2000万円,国会議員なら4000万円と言うところだ.
それにプラスアルファがあるから,国会議員で実質7000万円から1億円だそうだ(ハッキリしていないこと自体が問題だが).
だから,20年もやると,最低でも,地方議員で4億円,国会議員で8億円になる.そうなるとどうしても自分の子供に次がせたくなるのは必定だ.
それに,最近では「政党助成金」なるものがあり,党議に反することをすると党からお金がもらえない.昔から議員は「陣笠」と言われるが,頭数だけいれば良くて,人はいらない.
いっそのこと,選挙では人を選ばず,政党だけを選び,数だけ決めて,国会は各党10名ぐらいだけでやったらどうか? 実質的にもそうなっているし,国会議員が地方のことに口を出すと,何時までも地方自治ができない.
政党が全部で10ヶあれば,選挙で党首だけを書いて,「勢力数」だけを決定すれば良い.
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考えてみれば,選挙中に土下座して「男にしてくださいっ!」と叫ぶ候補者やら,雨の中をずぶ濡れになって走る回る候補者もいる。
異常だ。
この世の中には特別に偉い人がいて,「この身を犠牲にしても社会のために働きたい」という人がいるかも知れないが,私は長い人生で出会ったことはない.
まして,まともな人で,声をからして「私を男にして下さい!」と叫ぶような人はいない.
それだけ苦労して,議員になりたいというのはよほどの変人だ.でも,1億円となると違う.セールスマンでも1億円の売り上げなら土下座もするだろう。それと同じだ.
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今度の衆議院議員選挙で,「自分の報酬を年間800万円にする」と言う人がいたら,その選挙区にいって投票したい.でも,良いことばかり言っていて,自分の報酬には触れない人には入れない.
まして,もともとは国民の税金なのに,それを「・・・にお金を出します」などと言って,それが,あたかも自分の業績のように演説する人はまったく信用できない.
(平成21年8月22日 執筆)