私たちは地球人であり,世界市民である.でも,同時に日本人だ.

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若い頃,私はある研究所長として日夜,技術開発に取り組んでいた.そんなとき,オーストラリアから我々の技術を買いに政府の団体が来た.

実際にはもう少し礼儀正しかったような気もするけれど,私の記憶に残っている彼等の態度は,足は机の上に乗せるは,帽子はかぶったままで「おい,お前らの技術が気に入ったら,買ってやる.説明しろ」という態度だった.

彼等は資源を持っている。それと日本の技術を交換しようというのだが,彼等は何もしないでも資源がある.日本人の技術者は夜も働いて,歯を食いしばって技術を作る.

「泣くもんか!」と頑張って,日本のために技術を作る.でも,あんな威張った奴の資源と交換しなければならないとおもうと残念だ.

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私が「まず,日本人のことを考えたい」と思うようになったのは,こんな経験を多くしたからだ.

いわゆるテレビに出る文化人のように「アメリカが,ヨーロッパが」といいたくない。彼等はアジア・アフリカの植民地のあがりで豊かな生活をしてきたし,今でも資源は国土は遙かに彼等の方が勝っている。

彼等は日本人のことを,時に「黄色いサル」と呼び,「あいつらは召使いだ」と思っている。

まして,アメリカは日本に原爆を落としたし,東京大空襲をした.東京裁判までやったのだから,赦すことはできない.お金をくれるからと言って私はアメリカに尻尾を振りたくない.

ロシアは日露戦争で戦った相手だ。しかも礼儀知らずで,占領した北方四島すら返さない.許し難い民族だ。

中国と日本の関係は近い国であったと言うことを考えると,歴史的にもまれに見るほど友好的だった.ここ100年は少し不幸な時代がつづいたが,長い歴史では,これぐらい友好的につきあった国はないだろう.

でも,なにしろ中国は日本の10倍である。朝鮮やポーランドが良い例だが,大国に近い小さな国の力が弱くなると,関係はひどく悪くなる.その意味では,日本は常に中国より一歩,先んじていることが両国にとって大切だろう。

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日本に武器があるか? 日本が,夜も働かないでも,アメリカ,中国,ロシアに勝つ武器はあるか?

勤勉なら負けないが,勤勉は辛い.だから「資源を持っている」とか「原爆を持っている」というような「楽して勝つ方法」はないだろうか??

ある! 遂にそれが見つかったのだ!!

それこそ「温暖化」である.温暖化さえすれば,日本は勝つ!!千載一遇のチャンスであり,このチャンスを活かすことができれば,特攻隊で命を捧げた若者の恩を返すことができる.

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お風呂を沸かすときに,100人が100人,風呂桶の水を沸かす.一人として風呂場の空気を暖めて風呂を沸かそうとする人はいない.

「水」と「空気」が一緒にいる空間では,温度は「水」の温度に近くなるからだ.

冬の寒い時でも,42℃に沸かした風呂のフタを開けると5分も経たないうちに風呂場の空気は暖かくなる.

それに対して,夏の暑いときに風呂場の空気をサウナのように暑くして,風呂のフタを開けてもいっこうに水は冷たいままだ。

つまり,日本のように四面が海の国の気温は周辺の海(水)の温度に近くなる.そして温暖化して空気が暖まっても,海水は直ちにはあがらない.どんなに早くても30年は遅れる。

温暖化して,被害が出始めるとする.その時,まず被害が出るのは「大陸の大国」である.つまり,アメリカ,中国,そしてロシアだ.

その国が苦しんでから30年後に,日本に影響がでるが,その影響は大国に対して格段に小さい。そして日本のように技術力があれば,大抵の問題は簡単に片づく.

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どんどんCO2を出そう。もし温暖化がCO2のせいであり,温暖化すると被害がでるなら,千載一遇のチャンスだ.

私たちに日本人の先祖は,身を捨ててこの国を守ってくれた.そして日本が植民地にならなかったので,今日の繁栄がある.

我々は命を捨てなくても良い.すこし温暖化を我慢すれば,相手は大きくやられる.それを狙うのが高等戦術でもなんでもない,普通の戦略だろう。それをしないのは日本の政治家がポンコツだからだ.

「日本がCO2を減らして,自ら犠牲になれば,世界の国が日本を見習ってCO2を減らすだろう」などとノーテンキなことを言っている人は,日本人ではないから,日本から出て行って欲しいものだ.

(平成2185日 執筆)