29日,青森の空はどんよりと曇って,夏なのに時折,冷たい雨が降っていた.
「あと,一週間もこんな日が続いたら,イネはもちろんだが,メロンやスイカも打撃を受ける」
沖縄のように太陽の光が過剰に降り注ぐところと違って,北の方の国は短い夏の太陽は本当に大切なものである.
でも,今年の7月の気候はそれほど珍しいものではない.太平洋の高気圧の勢力が少し変わると梅雨前線はすぐには北上しないので,梅雨の明けるのが遅い.そんなときには決まって豪雨と冷害が起こる。
豪雨災害が起こった後,テレビの番組では気象も歴史もしらないコメンテーターが「温暖化で豪雨が起こっている。対策をとらなければ」と訳のわからないことを言っていたが,少なくとも今回の豪雨と梅雨明けが遅れたのは温暖化とは関係が無い.
「温暖化か寒冷化か」といえば,今年の天気は,どちらかというと寒冷化に属する変化で,フィリピン沖の高気圧の勢力が弱いことが原因していて,その遠因はペルー沖の水温だろう。
また,梅雨明け近い雨は,前線が停滞し,さらに蒸発量が増えるので,豪雨になりやすい。それも特に湿った風をうける北九州に特異的で,昔から諫早豪雨,長崎豪雨などはいずれも1時間あたりの降水量は100ミリを超え,諫早の時には一日で1000ミリを超えている。
「なんでも温暖化おじさん」があまり登場しない前に梅雨が終わって良かった.農業の人も一安心だ。
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ところで「冷害」という日本語はあるが,「温害」という言葉は無い.昔から作物にとっては「暖かい」ことで不作というのはほとんど無いが,冷たくなるとたちまち冷害になる.
今まで,どんなにおおくのお百姓さんたちが冷害に泣いただろう。農業が近代的になっても,梅雨が一週間も遅れると青くなっているのだ.
「温暖化は危険だ」と叫んでいる人たちは,本当に日本の農業を心配しているのだろうか? 寒冷化は農業にとって強敵であり,「干魃」がそれほど大きな問題では無い日本では,温暖化は農業にとってのどから手の出るほど欲しいものの一つだ.
「地球市民」を強調して,格好をつけている人たちも,「地球」ばかりを考えずに少しは「日本」を考えて欲しい.
といっても,私の住む名古屋も「地球」を考えて「名古屋」を考えない人もいるが・・・
(平成21年7月30日 執筆)