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人生は柿泥棒である

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この格言はつい最近できたものである.だから格言というにはまだ少し早い。でも,なかなか含蓄のあることばである。

本を読んでいて,この言葉に接して思わず膝を叩いてしまった.そのうちには立派に「格言入り」を果たすに違いない.

柿というのは面白い果物で,甘い柿と渋い柿があり,見た目ではなかなか見分けることができない.そしてそれに「柿泥棒」を組み合わせると,この格言となる.

まず,「泥棒」というのは犯罪だから,悪いに決まっている.でも,昔から「他愛のないいたずら」というのがあり,「柿泥棒」もその一つだ.

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2,3人の悪ガキが作戦を巡らして,立派な家の塀越しにたわわになっている柿をどうしたら盗めるかを相談している。

「あのオヤジ,結構,見張っているぜ」

「見つかったらひどい目に遭わされるからな.この前は水をかけられてずぶ濡れにされたよ.なんだ,あれ.すごい水だったぜ」

「いつも構えてるんだ.でかいホースだからな」

盗む方も柿を2,3ヶ,盗まれる方も警察に届けたりはしない.「コラっ!」と怒鳴るか,水でもかける程度で追い払う。

そんな苦労をして,まんまと柿をむしり取るのに成功しても,一口,食べると「渋っ!」と顔をしかめる。

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人生,努力することは必要だ.頭を巡らすことも大切だ.でも,その努力が報われるかどうかは判らない.盗んだ柿が甘ければ成功,渋ければ失敗だからだ.

問題は,「努力して失敗した」という時だ.そんなとき,人はガッカリし,それまで頑張ってきた心が折れる.でも,最初から「努力しても失敗するかも知れない.でも努力すること,そのこと自体が私だ」と思っていれば,心は折れることはない.

実は,私はなんでも一所懸命,やるほうだが,それが何か良いことに結びつくか,お金が儲かるか,名誉が得られるかはほとんど考えない.ただ,私も人間だから,ボンヤリとそんなこともあれば良いなと思うことは思うが,それだけである。だから,ガッカリしない。

もともと,成功しても幸福が得られるものではない.幸福とは努力している間に与えられるものだから.

(平成21717日 執筆)