温暖化すると海洋性気候である日本は被害を受けないが,大陸性気候のアメリカ,中国,ロシアは大被害を受けるだろう(これは,我が日本政府は言わない).

ところが,アメリカ,中国,ロシアの指導者はバカだから,温暖化の怖さに気がつかない(と日本政府は言っている).

アメリカ,中国,ロシアが可哀相なので,日本が率先して彼らに「いかに温暖化防止が大切か」ということを教えるために,国民に犠牲を強いてCO2削減をやっている(と日本政府は言っている).

私は愛国心が強いので,アメリカ,中国,ロシアのために日本人が犠牲になるなんて全く同意できない.むしろ,威張っている大国がもし少し被害を受けるなら,それはそれで良いと思う方だ.

でも,実は悲しいことがある.

それは,日本は日本国民が生存するのにもっとも大切な「穀類自給率」が人口1億人の国では断然,世界最低レベル,27%しかない.世界の国は日本のノーテンキにあきれている。

その日本が「環境先進国」として,アメリカも中国もロシアもやっていない「CO2削減」で「地球環境に貢献」しようという.利権が欲しくて辻褄の合わないことを言っている。

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環境でもっとも大切なのは,農林水産業だろう。なんといっても私たちが食べるものを生産するのだから,生存そのものだ.

人間は,三大栄養素である「蛋白,脂肪,炭水化物」だけで生きているのでは無い。血を循環して酸素を運ぶときには鉄(Fe),腸で血液を作る時にはコバルト(Co),舌で味を感じるときには亜鉛(Zn)という具合に,金属元素を使い,骨はカルシウム(Ca),神経伝達も血圧調整も特定の元素がいる。

自分の体は自分の土地からできる.だから日本人は日本の土地と近海から取れるものを優先して食べなければならない.

道路の舗装もいけないし,下水道整備もほどほどにしなければならない.土と石の道路にはときどき乾燥した馬糞が落ちていて,風が吹くとそれが舞い上がり呼吸器と胃に入る。排泄物は土に染みこんで,その中にある元素はまた野菜の中に取り込まれる・・・・・・

循環型社会,生物多様性とはお祭りではない.私たちが住む環境をもう一度,そんな環境に作り替えなければならない.

「冷暖房のいらない街」,「砂埃の上がる街」,そして「近くで取れた野菜が店頭に並ぶ街」が理想だ.そうなったら「環境先進国」としてある程度,世界の中で先導的なことをしてもよいだろう.

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それができるまで,工業が高い効率で動いてお金を儲けたら,そのお金を農林水産業に回すための「政治家と官僚」がいる.

穀類自給率が27%,森林自給率が30%台(林野庁はあまり本当の数字を出さない),漁業が50%.そんな国が何で環境先進国になるのか?

家族の食事を担当しているお母さんは,なぜこんな状態で我慢できるのだろう?なんでレジ袋追放などつまらないことをしたり,エコバッグがファッションだ等とノーテンキなのだろう?

このままでは私たちの孫はひどい目に遭う。今はトヨタ自動車がいて,パナソニックがある.だから何とか食糧を海外から買っているけれど,石油でも高騰したら孫は飢える.

工業でもうけたお金は農林水産業に回さなければならない.そのためにはおそらく農水省と経産省が統合しなければならないと私は考えている。

それができなければ,経済界の法人税を農林水産業に回すことだろう。経済が繁栄するためには,経済人もご飯を食べるだろうからである。

農林水産業も努力して世界に負けない産業にして欲しい.

目的は私たちの孫の健康であり,私たちではない.今,経済は厳しいけれど,日本人は飢え死なない。せめて格差を縮小すればよい。

孫が繁栄すること,それこそが私たちの願いだ.そのためには,日本の農林水産業をともかく元気よくしなければならない.その解決策はお金だけではない.むしろ若い人が農林水産業に夢を持ってそれを仕事にする,そんな事にならなければと私は願う。

日本人の所得が高いから農林水産業に行かないというのは間違いである。世界の先進国の中で,飛び抜けて日本だけが農林水産業が衰退している。「日本だけ」であるから,一般論でその原因を語ることはできないのだ.

日本では,農林水産業というと「利権」と顔に書いてあるおじさんが出てくる.だから,若い人は近づかない。明るい日本の未来のために自分の身を捨てて農林水産業の発展に尽くす,そんなおじいさんの出現を期待する.

(平成21628日 執筆)