2009年5月25日,北朝鮮が2度目の原爆実験を行った.規模は20キロトン程度(長崎並み)と見られ,日本,アメリカ,ロシアを含む各国は北朝鮮を批判している。
NHKもトップニュースで報じ,国連の安保理を中心とした北朝鮮非難,そして日本が批判決議案を起草することを報じている。
北朝鮮のプルトニウム原爆についてはあまり解説をしたくない.原爆というものそのものが世の中にあってはいけないので,その解説をするのは気が進まない.
しかし,原爆報道は「凍り付いている」と思う。それは,「現状を報道できず,単に北朝鮮のことだけしか言えない」という報道だからだ.アナウンサーの口元は凍り付いていた.
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現在,アメリカとロシアが持っている核爆弾は2万5000発と言われている。さらにイギリス,フランス,中国など国連の安保理の中心国はすべて「核爆弾」を持っている。
「自分たちは正しいから核爆弾を持っても良いが,北朝鮮は間違っているから核爆弾を持ってはいけない」という論理の正当性はいつまで続くのだろうか?
そんなことで「核爆弾の根絶」などできるとは思えない.
私がNHKのニュースを担当するなら,「北朝鮮が2度目の原爆実験をした.その規模や結果から言って,北朝鮮が実戦的な原爆を持つ日も近いと考えられる。なお,アメリカとロシアを中心として北朝鮮の原爆実験を非難しているが,両国の保有する核爆弾は2万5千発におよぶ。ちなみに日本が保有している発電用のプルトニウムは3300発分の原爆に相当する」と報道する。
北朝鮮の原爆実験は残念だが,日本は唯一の被爆国として,北朝鮮を批判すると同時に,かならずアメリカ,ロシア,そしてその他の核保有国を批判し,「この世から核兵器を無くさなければならない」と言うことが誠実というものだ.
そして日本がプルサーマルという原子炉の燃料に使うプルトニウムは技術的にも政治的にも,どうしたら兵器用に転用できないかをしっかり説明しておく必要がある.
今回のことで,日本が安保理に提出する北朝鮮批判の決議案の中に「もともと,世界の核爆弾が2万発以上あり,直ちに核兵器に転用できるプルトニウムなどが大量に存在する状態を無くすことが第一である」という文章があるかどうか,注目したい.
人類にとって原爆はいらない.当面,経過的に原爆が必要なら管理を国連に移し,個別の国は原爆を持たないようにしたらよいし,それを日本はことあるごとに提案するべきである。
原爆を作ったのは間違いだった.日本はそれをハッキリと示した方が良い.個別の原爆の問題だけを論じていると,日本も原爆を持つ必要を生じるからである.
広島も長崎もアメリカ人の居留を認めているが,これも私は異論がある.原爆を落とした国は認めないという強い態度も大切と私は思う。
(平成21年5月26 執筆)