かつてある学会の倫理委員会で「兵器研究の禁止」ということが自衛隊の方の発表の是非が議題に上がった時,「兵器の研究は平和を目的としているこの学会の趣旨と違うから禁止」というのが大勢だった。

そこで私が「他国から攻められても日本は防衛しないのだろうか?平和時の平和主義なら,学会の権威が問われる」と疑問を呈した.

平和なときに平和を唱えるのは易しい.そんなことは誰でもできるし,平和主義でもない.平和の時にはアメリカから武器を買えばよいというのは平和主義ではない.

倫理委員会は結局,兵器研究を禁止しなかった.

今,毎日のように話題になっている「エコポイント」にはあきれる。つい数年前まで「大量生産,大量消費」の生活スタイルから脱皮すると盛んに唱えた人たちは一体,なぜこのエコポイントに反対しないのだろうか?

エコポイントの趣旨は「まだ使える冷蔵庫,テレビ,エアコンを新しいものに買い換える」というのだから,まさに「大量生産,大量消費」への逆戻りだ。あれはなんだったのだろうか?

事実,「エコポイントを導入すると販売量が7割増える」と算定している機関もある.

さらに,冷蔵庫は大型になるほどエコポイントが大きい.エアコンはできれば使わない日本列島をつくるはずではなかったのか? テレビはジデジで大量に「まだ使うことができるテレビ」が捨てられようとしている。

それに数1000億円という税金が投入される。「景気対策」を「エコ」といって環境省がやっているのだが,環境省は「ものを大切にしよう」と呼び掛けないのか?

冷蔵庫はだいたい15万円はする.そして電気代の節約は10年も使っても最大で5万円だ.買い換えると3倍もCO2をだす.環境省は「電気自動車も冷蔵庫も,製造する時には電気も石油も鉄も使わない」という計算をして国民を騙している。

それなら,メーカーの工場への電気の供給を止め,石油の輸送を禁止したらどうだろうか? 民主主義なのに国民にウソを伝えてどうしようというのだろうか?

景気が良いときにはお金があるので,目立たないように買って「大量消費を止めましょう」と言い,景気が悪くなるとお金がないので「大量消費しましょう」と言うのでは,平和時の平和主義と同じだ.

つきあうなら「誠実な人」とつきあいたい.若い頃,過激な思想にとりつかれたが社会を知るにしたがって考えが変わったというのは別にどうと言うことはないが,何も理由がなく,単に自分が得をしたいからというのでは,その人に誠がないからだ.

まして,先日,環境偽装があった日立が「エコポイントの指定」を受け,「辞退しない」らしい.中小企業がちょっと偽装をすると大騒ぎをする人たちも,相手が日立となると黙る。

数1000億円という税金は,大型冷蔵庫に買い換えられるお金持ちに税金を還付するようなもので,それを消費税でとるというのだから,徴集した税金をお金持ちだけに還元する政策である。

いやはや,日本の中で「誠」のある人しか話をしないようにすると,なんだか話し相手がいなくなってしまうのではないかと心配になる。

NHKも良く平気でエコポイントの報道をしているものだ.

(平成21514日 執筆)