20世紀の生産時代は,「生産する方」や「活動する人」が中心でした.だから「売り上げが上がるか」,「儲かるか」というのを基準にしたのです。でも,環境とは「受け手」が問題になります。受け手には「自然」,「資源」,そして「弱い人」などがあります.

たとえば,変な比較ですが,私の大学の学生が「ボクにとっては,NHKよりレジ袋が大切」と言ったことを,この基準で解析してみましょう。.

レジ袋とNHKのどちらが「環境」に良いのでしょうか.まず,動物や森林から言えば,レジ袋は地下に眠っている石油を人間が使うのですから,それが少し減るだけで動物や森林にはほとんど影響はありません。

またプラスチックは年間1400万トンも使われるので,レジ袋はその70分の1にしか過ぎませんので,影響も少ないのです。これに対してNHKはなんと言っても7000億円の予算規模で,その活動は広範囲にわたり,またNHKが放送するだけならたいしたことは無いのですが,国民がテレビを見なければ放送しても仕方がないので,そのテレビが数1000万台も使われます.

このテレビの製造にようする資源やエネルギー,そして家庭で使うその電気の消費量は膨大なものです.だから,レジ袋とNHKを比較するとNHKの方が「自然と資源」という受け手の環境に悪いのは明白です.

最後に「弱い人」への影響を考えますと,レジ袋をスーパーでタダでもらえれば,お金の無い人や忙しくて朝早くから働かなければならない人はついでにコンビニなどに寄りますから,レジ袋は助かります.そして家ではポリ袋として使うことができ,おまけに一枚数10円するゴミ袋も買わなくてもゴミを出すことができます.

一方,NHKは見なくても民放があるのに,NHKはお金をとります.さらに,現在のシステムではNHKはお年寄りからも弱い人からも視聴料を取りますが,NHKができたときにはそれで良かったのですが,現在ではタダの民放があるのですから,本来は「収入に関係なく視聴料を取る」という制度は,私には弱い物イジメに見えます。ついでに言いますと,NHKの首脳部の給料は大変なものです.

だから,環境のためには,レジ袋は優等生で,NHKは劣等生であることが分かります.

でもこの計算には欠点があります.それは「レジ袋より,NHKの方が俺の人生にとっては大切だ」という人もいるので,「自然,資源,弱い人」に与える悪い影響を「その人の人生にとっての価値」で割らなければならないということになります.

しかし,レジ袋とNHKが「自然,資源,弱い人」にどのぐらいの負荷をかけるかは計算できますが,「人生にとっての価値」は人によって違います.現在はそれを「平均的な人」という基準を使っていますから,私の大学の学生のように「NHKの方が環境に悪い」という結論になる場合もあるのです.

そして,この最後のところが問題なのですが,この世の中は「力」と「利権」が支配していますから,「レジ袋を追放すればスーパーが儲かり,ゴミ袋やさんが儲かる」,「NHKを無くすにはNHKが抵抗する」ということがあり,「弱い人」がどんなに叫んでもその人たちの希望は実現しないということになります.

つまり,環境を大切にするというのは,自然,資源,弱い人のような受け手の被害を言うのですが,みんな「声が無いか小さい」ので,力がありません.だから,結局「エコ」というのは「売り上げや視聴率をあげるためのカモフラージュ」になってしまうのです.

先日,あるテレビの人が「武田先生を「反エコ波」と呼んで良いですか?」と言いますので,「自分ではエコ派のつもりだけれど」とご返事したら,「エコ」というのは,自然,資源,弱い人を考えるのではなく,自分が使いたいとか,メーカーが増産したいのに協力することです」という定義でした。 いやはや・・・

(平成21年4月18日執筆)