補正予算の解説で,まだまだ説明するべきところが残っている.たとえば,補正予算では一家族60万円を政府が使うのだが,実際には一家族60万円は行かない。

その原因は主に「お役人」と「天下り組織」が中間でリベートを取るためだが,これはなにかの機会に説明をしたい.何しろ,日本人はおとなしくて真面目なので,お上を信用しているから,リベートを取るのは簡単なのだ.

でも,先に進みたい。 あまり細かいことを考えると「山」を見ることができなくなるからだ.

ところで,今回の補正予算は大きなところで,奇妙なことがある.それは「国民はお金に困っている」と言っているのに,「国民は一家族40万円を払える」ということだ.

これを理解するには2つの事実を知らなければならない.

一つは,国民はお金を余していて,それがすでに1500兆円にもなっている。 1500兆円というと国民一人あたり1500万円,4人家族で6000万円だ.

それも「6000万円の貯金があるお金持ちの家もある」というのではない.平均して6000万円も貯金(銀行預金,郵便貯金,株式,国債など全部入れて)があるというのだから,驚く.

もちろん,3億円を持っている家族もあれば,ほとんど貯金がない家族もいるだろう.でも,この際「平均6000万円」という信じられない数字を勇気を持って受け容れた方が良い.

なぜ,こんなに国民がお金を持っているかというと,「稼いでも使わなかった」ということにつきる。 おおよそ次のような感じになる。 それと収入に差がありすぎるからだ.

1990年から20年ばかり,国民は,日本はバブルが崩壊して将来が不安になったこと,「環境」とか「もったいない」と言われて消費を控えたことで貯金ができた.

企業は収益を上げ続けたが,従業員の給与は減少した.つまり,それを誰かが貰っている。

20年で1500兆円だから,1年に75兆円ずつ貯金した.一人あたり1年で75万円,四人家族で300万円ずつ,毎年,貯金してきた.これも平均だ.

この75兆円はどこにあるのだろうか?

無い。 どこにもない。国民がお金を貯金し,それは政府がほとんど使ってしまった.株など民間が借りたものは返してくれるけれど,1500兆円の内,1000兆円ぐらいが帰ってこない。

「国には銀行がない」ということが普通には理解できない.何処かにお金を貯めておけると錯覚しているのが普通だ.もう一つは,「お国ともあろうものが,返す当てのないお金を使うはずがない」という純情な気持ちだ.

なにしろ,国民が貯金し,そのお金を民間が借りないので,お国が使う。お国は「だれも使わないのだから,何が悪い」という態度だ.そして返す当てもない「国債」という借金証書を渡す。

このトリックは何重にもなっているので,なかなか見破ることはできない.たとえば「武田という人が国は,国債を返さないと言っていますが」と質問すると,「何を言っているのですが,返しますよ」と答える.

しかし,その返すお金は国民から同額を税金で徴収するとは言わない。

「将来,消費税として取るんじゃないですか?」と聞くと,「消費税で頂いたお金は福祉などに使います」とごまかされる.事実,2009年4月10日に放送されたNHKの番組で,ある学者がそのように答えていた.

私はそう発言した学者の顔が忘れられない.ハッキリとこのからくりを知っているからだ.

実際には消費税で税金を取り,その半分を国債の償還費に充てて,半分を福祉に使えば,国民は分からなくなる。それが麻生首相の言う消費税増税の実態なのである。

このことと長年,言われてきた「内需拡大」とはどういう関係だろうか? この解説では一つ一つがかなり新しいことなので,あまり長くならないようにして一段落し,また「内需拡大」については解説を加えたい。

今日のところは,国民は「みかけ」はとても金持ちで,そのお金はほぼ全部,政府が使ってしまったということをとにかく頭に入れなければならない.

(平成21412日 執筆)