1997年12月に京都議定書が締結された後,しばらくすると「国を指導する立場」にある人たちは「大失敗した」ということが良く分かってきた.

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地球温暖化は防がなければならないかも知れない.私は温暖化はそれほどの問題では無いと思っているが,温暖化が怖いと信じている人たちも多いことは確かだ.

その中には「儲けよう」という人もいたが,本当に温暖化が怖いと思っている人もいたし,また「温暖化がどうかは分からないが,政治的な道具には使える」と考えていた人もいた.

アメリカのゴア元大統領などは政治的な道具に使えると思った人の一人で,「節電しよう」と呼び掛けながら,自宅の電気代は一ヶ月30万円だったり,3000年後に海水面が6メートルあがるということを知っていて,すぐにでも海水面があがるような演説をしたりという状態だった.

何しろ,日本は世界でわずか5%ぐらいしかCO2を出していないし,それもGDPから見るとヨーロッパの2分の1,アメリカの3分の1,カナダの4分の1,そして当時,ソ連だった今のロシアの10分の1以下とされていた.

だから,技術的にも倫理的にも,日本がCO2を削減をする必要は全く無かったのだ.

さらにヨーロッパは自分たちが削減されないために,1997年に議定書を締結するというのに1990年基準という訳の分からない基準年を主張して,会議を通してしまった.

かくして,実質削減国は,アメリカ,カナダ,そして日本だけになり,アメリカは「バード・ヘーゲル決議」があるので,署名した瞬間からよほどのことがない限り批准しないことはハッキリしていた.

さて,日本である。 「日本の指導者」はまもなくそのことに気がつき,まず「政府と経団連」で密約を結ぶ。 「庶民や子供には削減を呼び掛けるけれど,産業界は規制しない」というものだ.

これが批准に当たって「密約」になったのは,政府の失敗を公にしないことが目的だった.マスメディアの一部は知っていたが,「政府に配慮」してこの密約を報道しなかった.

一方,密約を守るために,政府は多くの対策を始める。

まず,第一に子供を洗脳することだ.小学校の指導要綱,教科書には温暖化の恐怖が入る。 先生を洗脳しなければならないので,環境教育を始める.そして,その極めつけがNHKのみんなの歌(シロクマ)である.

かくして,子供の洗脳は成功した.

次に,庶民の洗脳で,毎日のように流れる温暖化が怖いという番組,そしてクールビズなどのイメージ作戦。 本当はCO2の排出量を増やすレジ袋追放作戦。そして大人の洗脳は成功した.

国際的には二つの手を打つ。 一つは,「森林がCO2を吸収する」という非科学的なことを主張してCO2の削減量を減らすことだ.これには最初,ヨーロッパ勢が抵抗していたが,なにしろ日本が被害を受けてヨーロッパが得をするという条約だから,ヨーロッパも折れた.

日本の削減量は半分になる.このときに,「国の指導者」は大喜びしたという。「森林をCO2削減の対象にできたので,削減量を減らすことができた!」と喜んだのである.つまり本音は「CO2を減らしたくない」のである.

密約がばれなければよい.

次に,「密約」を守るために経済界を脅かして,「排出権」を買う金を出させようとした.経済界はCO2規制が始まるととんでもないことになるので,排出権ぐらいのお金は我慢しようと言うことになった.どうせ,消費者にツケを回せばよいことだからだ.

かくして,「政府のメンツを立てて,国民にツケを回す」という全体像を作り上げることができた.日本中に「温暖化防止センター」など多くの法人が出現,そこには大量の天下りが収容された.

もし温暖化が本当で,それが恐ろしく,さらに日本が被害を受けるなら,「温暖化は本当か?」と疑う人たちがいてもあまり相手にしなくても良い。 現実に温暖化の被害が出るからだ.

でも,実際には被害がでないし,全体像が歪んでいるので,それを守るために必死の努力をする.

温暖化に疑問をはさむ学者を集中的に攻撃し(ムチ),温暖化に協力する御用学者に多額の研究費を回す(20人に数10億円・・・アメ).日本人なら,そして武士なら,汚れたお金は受け取らないが,今の大人に魂を求めても無駄である。

私が森林関係の国立研究所に電話して,「森林はCO2を吸収していないはずだが」と聞いたら,「補助金が欲しいから」と答えた.補助金とは税金である。 自分で価値のある仕事ができないから,ごまかして税金をかすめ取る。

私も科学者なので,同じ科学者にこんな人がいるのは実に情けない。 科学は事実を重視するのに,事実よりお金に目がくらむのだから。

ところで,なぜ政府は日本国民を裏切ったのだろうか? 裏切ったのは「密約」だけでも分かる。 自分がしていることに正しいという信念があれば,密約などあり得ないからである。

かなり深く知っている3人の人に聞いてみた。 議員,中央省庁のもと局長,そして評論家である.

3人とも同じことを言った.

「現代の政治家で,国民のことを考えている人はいない.」,「現代の官僚で国民のことを考えている人はいない」.そして,政治家も官僚も「税金」で暮らしている。税金で暮らしている人が,税金を減らそうとするはずはない・・・これが第一弾である。

第二弾は,「その原因は国民にある」.なぜなら,国民は京都議定書を支持した。支持した理由は「政府がやっているから」ということだ.マスメディアもそれにのった.西山事件以来,マスメディアが密約など暴こうものなら,国民の不買運動にあうからだ.

国民のために密約を暴く.そうすると国民が政府側の経って,報道したマスメディアの不買運動をするのだから,怖くて事実を報道できない.

政治を良くするのは,そこにいる国民のレベルと誠意にある・・・と言われる.まさに「騙されたい国民」,「騙されてもよい子になりたい国民」,「理由が無くても突撃して死にたい国民」が原因だと言った.

その通りかも知れない.日本人には誇りがあり,誠実さがあり,それほど贅沢には興味がないのに,いつからこんな風になったのだろうか?

(平成2145日 執筆)