19世紀,それは人間の力が大きく伸びた時代でした.スチーブンソンの蒸気機関車が走り,エジソンが電灯を発明した世紀だったからです.そんな世紀で人生を送った人たちは,19世紀が終わるときに,すばらしい世紀だったと感激したものです.

でも,20世紀はさらに人間の知恵が爆発して,100年前にはとても考えられない世界になりました.

20世紀はどんな世紀だったのでしょうか?

最初の頃は,男はツルハシをふるって地下深い炭坑で石炭を掘り,女性は家庭で,掃除洗濯,そして子育てに追われていました.冷蔵庫も洗濯機もない毎日ですから,それは大変なことです.男性も女性も生活に疲れ,日本人は40歳で死んでいったのです.

戦争が終わる頃から,科学技術が大きく進み,家電製品,動力機械,そして自動車が発明され,医療も大きく進歩しました.今や日本人の寿命は80歳を超え,毎日の生活は快適そのものです.

それでは,21世紀はどんな世紀になるでしょうか?

このシリーズは,それを「環境」という面から考えてみたいと思っています.今では毎日のように「環境」と言われますが,まだまだ環境について人間が知っていることは少ないのです.ですから,大いに勉強し,正しい出発点に経たなければなりません.

たとえば,次のようなことです.

外で元気いっぱいに遊んできて、すっかり「からだの汚れた君」が家に帰るとすぐシャワーに入ったとします。そして、綺麗さっぱりした君がシャワーから出てきます。

だから「シャワーは素晴らしい!」というのが「20世紀型」と言われる考え方ですが,何か一つやると、良いことと悪いことが起こります.

21世紀の考え方を紹介しましょう.

「すっかりからだの汚れた君が家に帰ってきます。そしてシャワーに入って、さっぱりして君が出てきますが,「君についていた汚れ」は洗剤と一緒に、下水に流れて環境を汚します。 そして,その水は遙か彼方の海までながれていって魚が君の汚れを飲み込むのが見えるようです.

20世紀型の考えなら、シャワーは素晴らしいけれど、21世紀型なら自分本意のエゴとも言えるのです。 君のからだの汚れを飲まされる魚にとってはたまらないことでしょう。

もう一つ例を挙げます。

電気を起こすためには石油を燃やしてスチームを作って、それで発電機を回さなければなりません。でも、川にダムを作り、水をせき止めて下に流すと水力発電で電気を作ることができます。

人間は,石油を消費しなくても電気を作る方法があるのだから、水力発電は素晴らしい!と考えたのです.そこで,「20世紀の人」は川の中流にダムを造り、水力発電所で電気を作ったのです.でも、ダムを造ってからしばらくすると、ダムの下流の自然は大きく痛みました.

それはダムをつくるだけで電気ができる、だから素晴らしいと一つのことだけを考えた間違いだったからです.川の流れは砂利を下流に運び,藻や魚が育ち,河畔には木々が生い茂る原動力だったのです。ダムは電気は起こしましたが,川の自然は台無しになってしまったのです.

このシリーズでは,20世紀には考えもしなかったこと,でも,21世紀には,どうしても考えなければならないこと,それは何かを家庭で親子が話す時に参考にしていただくことを目的にしました.子供に直接,語りかけるつもりで書く予定です。

19世紀と20世紀が大きく違ったように,私たちが生きる21世紀は,これまでと全く違う世紀になるはずです.そんな時代に活躍する君は,新しい考え方を身につけておく必要があるでしょう.このシリーズがその参考になることを期待しています。