別に自慢話をするわけではないけれど、お子さんを教育している方もおられるだろうから,ご参考までに,ちょっと,体験談を書きたい.理科系の子供を作る一つの方法だから。

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小さい頃から、私はいつも「なぜ?」と思う方だった。記憶がハッキリ残っているといえば小学校3年生の頃,朝、洗面に行くとガラス窓にびっしりと氷が張り付いていた。

その氷はあるところに中心点があって,そこから放射状に筋のようなものが走っている。それを見て,私(ボク)は「なんで,中心になるところがあるのかな? 最初にそこが凍ったのだろうか? みんな同じように寒いのに」と不思議に思った。

つまり,窓ガラスに氷がはるなら,同じように均一に氷がつくはずだと,小学校の私は不思議に思ったのだ.なんであんなに引きつるように氷が張っているのだろう。水から氷になるときには体積が膨張するのに?というわけだ.

そのことを作文に書き、それを私の親友のおかあさん・・・その人は高等学校の先生だったのだが・・・が偶然に読んで,「武田君は偉いわね」と褒めてくれた。

1年ほど前、親友のおかあさんに久しぶりにお会いしたら,この話をしてくれた.懐かしかった。 お年を召したおかあさんを見て,私は涙がでた.

それから60年.私はタクシーにのり,ボンヤリと空を見上げていたら,ふと不思議に思った。「あれほど重たい雲がなぜ空に浮いているか?」 簡単なことではあるが,自分はしっかりと理解していなかったことに気がついた.1年ほど前だった。

おおよそは雲を作っている水滴と周りの空気の粘度との関係であろうかと思ったが、しっかり自分自身に説明できないし,自信を持って他人に話すこともできないことを恥じた。

今日,私が大学に向かって歩いていて、「寒いな」とコートの襟を立てた。

その瞬間、「不思議だな。 何で冬は寒くて,夏は暑いのだろう? もう,生物が爆発的に進化してから6億年も経つ.0℃から40℃まで,いつも快適に感じたら暑くも寒くもないのに・・・ 20℃ぐらいから25℃ぐらいまでだけが快適というのも奇妙だな・・・」と疑問を持った。

これまで地球の気温が20℃から25℃ぐらいなら別だが、寒い時もあり,暑いときもあった.それも何1000万年という時間だ.だから,すこしぐらい温度に対する備えが体にあっても良いように感じられる。

「寒い」と感じ、「暑い」と思うのは警戒せよということだから,体に取っては具合が悪いのだが,なぜ,そんなに「普通の状態を警戒しなければならない」のだろうか???

10ヶぐらいの答えが浮かんだが,否定材料もある.まあ,これから1ヶ月ぐらいは電車を待っているときとか,散歩の時には楽しくなるだろう・・・

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人間には「クセ」や「慣れ」というのがある.私は「習うより慣れろ」というのがモットーで,最初から分かる人はまずいない.何回も何10回も何かしていれば,自然に身につく。

本もそうだ.一度で物理の本が理解できるはずもない。 最初は「あんなことが書いてある」ぐらいしか分からず、二回目は何となく理解でき、三回目になってやっとすこし理解する。

どういうキッカケで私が「なぜ?」と思うようになったのかは不明だが、もしかすると,父親が「クニ(私の名前は邦彦),これは何だ?」とぶっきらぼうに聞かれたからかも知れない.

私の父親は明治生まれだったが,そういう人だった.そして,私は60年間、「なぜ?,なぜ?」と聞きながらの人生だったし,それが自分を助けてくれた.

(平成21127日 執筆)