ペッとボトル,アルミ缶,そしてレジ袋は「三大エコ製品」です.
でも,アルミ缶のビールが出てきたときには「環境の偉い先生」は排斥しようとしたものです.その理由は「ビールビンをリターナブルに使えば良い」ということでした.まったく錯覚していますが,おそらく「材料」というものを知らないのでしょう。
アルミは人類に与えられたもっとも優れた材料の一つです。
アルミはボーキサイトという天然資源からできますが,比重が軽いので地球が誕生して冷えるときに地表に浮いていましたから、まず,「資源が豊富」にあることです.資源枯渇の心配がありません.
次に、毒性もほとんど無いことです。 なにしろ地表に多いアルミは簡単に言うと「土」ですから,もともと生物と一緒に居たのです.だからプラスチック製の弁当箱がでるまえには,弁当箱と言えばアルミでした.
ところが,アルミにも欠点があります.それは「ボーキサイトからアルミにする時に大変に苦労する(エネルギーがいる)」ということで,銅は青銅器があり,鉄は3300年前には作ることができたのに,アルミはなかなか作るのが大変で、わずか100年の歴史しかありません。
でも,それも技術が克服して,人類にとっては「無尽蔵とも言える資源から金属ができた」という素晴らしいことになったのです.日本で言えば,軽金属学会,資源素材学会などの専門家がずっと努力をしてきました.
ビールに使うアルミ缶は、極限まで薄く、資源を節約しています。さらに,ボーキサイトから作るよりリサイクルした方がエネルギーも総合的に見て,10%ほど節約でき,電気を作るのが大変な日本ではとても良い製品です。
さらにアルミは「人間」にとってさらに良いのです。
ペッとボトルが一般化することによって女性のお茶くみが減って,女性がより良い仕事ができるようになったように,アルミ缶のビールが一般化して「独身女性が風呂上がりにビールを楽しめるようになった」という画期的なことが起こったのです。
瓶ビールの時代,二つの問題点がありました.一つは重たいビールケースを運ぶ酒屋の丁稚さんには腰痛が多く、また寿命も短かったと言われています。
二つ目が,マンション住む独身女性がビールを飲もうとすると,酒屋に電話して一ケース運んでもらい、飲み終わると玄関先に出しておかなければなりません.どうもそんなことはしづらい雰囲気があるので,結局,我慢していたのです。
人間の進歩を否定するのは愚の骨頂で,良いところをとり,悪いところを使わなければ良いのは言うまでもありません.
資源は豊富、衛生的,錆びにくい(表面が錆びる),丁稚さんは腰痛がなくなる,若い女性は風呂上がりにビールを楽しめる,リサイクルできる,リサイクルするとホームレスも助かる・・・素晴らしいものですね.
アルミ缶は印刷などがされているので,そのまま土の中に捨てるわけにも行きませんが,もしアルミ缶になにも印刷していなければビールを飲んだあと,そのまま庭に埋めてもさして問題を生じません.それほど資源的にも、生活でも、環境にも良いものなのです.
アルミ缶の進出に反対した人は,お金持ちのおじさんでした.「やっぱり,瓶で飲むビールは美味しいよ」と私にいった高名な大学教授がおられましたが、彼は恵まれていて毎日のように料亭で飲んでいるのです。
彼には冬の寒い日に,かじかむ手に“はーっ!”と息を吹きかけ、腰に力を入れてビールのケースを4階まで運んだ、あの辛さを知らないのです。
まさに,アルミ缶はペッとボトルやレジ袋と並ぶ,「三大エコ商品」です.この便利な,
(平成21年1月26日 執筆)