浅田真央さんや安藤美姫さんが,氷のリンクの上で素晴らしい演技をしているのを見ると、いつも心が洗われる。 美しいとともに,長い間の厳しい練習が心を打つのだろう。

少し前まで、日本の多くの女性がシャイで引っ込み思案だったから,大きな国際舞台で堂々と活躍する人は本当に珍しかったし,なんとなく大舞台に慣れていない感じもした.

今は違う。 スケートにしろ、ソフトボールにしろ,日本女性活躍の時代である。 とても結構なことだ.

でも,なぜか,あれほどCO2の削減を視聴者に訴えているNHKが,スケートの大会を主催し、浅田真央さんがどのぐらいのCO2を使っているか報道したことはない.

彼女は小さい頃から今まで,どれほど練習したのだろう.そして練習するときに「出したCO2」はどのぐらいだったのだろうか? なにしろ季節を問わず氷の上で練習しなければならないから,水を凍らせてそれを維持するには膨大なCO2を出したはずだ.

でも,チームマイナス6%の政府、ツバル水没の誤報を流してまで温暖化に警告を発するNHKは,「浅田真央が世界でトップになるまで,スケートの練習をするのにどのぐらいのCO2を出したか. 経験を積むために海外に行き,その時,飛行機やホテル,練習にどのぐらいのCO2を出したか」を公表しない。

一昨年の夏のことだった. 私がFM放送に出ていたとき、ある男子高校生(受験生)から次のような電話が入った。

「僕は温暖化防止に協力するために部屋の温度を28℃にしているのですが,暑くて勉強が身に入りません.25℃にしたいのですが,温暖化には悪い影響をあたえないでしょうか?」

私がこの質問に絶句したことはすでに述べた。 世界的に見れば,アメリカの高校生もドイツの高校生も我慢していない. そして,高校生に呼びかけた日本政府もNHKもCO2を削減していない.NHKに至っては80%の増加だ.

質問した男子高校生はなぜ,CO2を削減しなければならないのだろうか? それに対して浅田真央さんはなぜCO2を出しながらスケートをして良いのだろうか?

高校生の勉強はくだらないけれど,スケートは高級なのだろうか? 地道に勉強している高校生はレベルが低いけれど、浅田真央は世界レベルだから良いのだろうか?

その高校生が長じてノーベル賞を取らないことがなぜ分かるのだろうか? その高校生が東大に入らなければ28℃、東大に入れれば25℃なのだろうか?

「環境」というのは,NHKや浅田真央さんは優れているからCO2を出しても良いが,名もない一人の高校生は我慢しろというものなのだろうか?

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私は「力のあるものは勝手なことをしてよい」という原理原則こそが,もし温暖化が問題ならそのもっとも大きな原因となっていると考えている。 しかし,排出権取引と言い、「名もない」高校生に我慢させることと言い、魂が入っていないような気がする。

私は温暖化は良いことばかりと考えているが,それとは別に,浅田真央さんがいくらCO2を出しても良いと思う。それは北島康介選手も同じであり,男子高校生も同じだ。

人間には人生というものがある.それぞれの人の人生の夢を制限するなら,かなりしっかりした論理と事実がいる.誰かが勝手に「あの人は良い,この人はいけない」ということはできないと思う。

(平成21121日 執筆)