ここ2,3日は少し憂鬱な気分になるだろう。 アメリカで大統領の就任式が行われるからだ.
日本のマスメディアは競って就任式やその関連の報道を続けている。 これが日本の首相や衆議院議長の就任式ならまだ良いのだが,何しろアメリカだからしらける。
なぜ,アメリカ大統領を自分の国の指導者より上位におくのだろう? その理由は様々だと思うが,私には「力に屈する」,「長いものに巻かれる」という魂を失った現代日本の雰囲気が大きく作用しているように感じられる.
アメリカというのはそれほど素晴らしい国だろうか? オバマ氏という人物はそれほど高い人格を持っているのだろうか?選挙中に相手の女性の副大統領候補を「雌ブタ」と呼んだ人でもある.
おそらくは,アメリカの軍事力が強く,日本の製品を多く買ってくれ,さらにはすでに日本が独立して50年以上経つのに,まだアメリカの軍事基地を国内に抱えているからだろう。
先の大戦で日本が敗北し,そのショックが大きかったのは確かであるが,それにしてもあまりにもアメリカを賛美していないか? 日本軍の南京虐殺や従軍慰安婦の問題になると,事実があやふやなのに針小棒大に伝える日本のマスメディアは,東京大空襲や原子爆弾投下を行ったアメリカをなぜ尊敬するのだろうか?
1945年3月10日の東京大空襲では,ルメイ将軍率いる戦略爆撃機が,「すでに軍事的な力の弱い東京」,「多くが婦女子や老人である東京」にたいして,「第一波で周辺を爆撃して,怖がる婦女子を中心部に熱め,そこで第二波で一気に大量虐殺する」という戦略を採った.
このルメイ将軍に対して,後の日本政府は勲一等旭日大綬章を贈る。 これも「力のある者に膝を屈して,あるものを恵んでもらう」という背景があった.
広島・長崎は言うまでもない.原子爆弾を落とせば,その下で死ぬ人の大半は「非戦闘員」であることは十分にアメリカは知っていた.
イラク戦争の「大量破壊兵器」、アフガニスタン侵攻の「ビンラディンさん」,そして少し古くはベトナム戦争の「トンキン湾事件」・・・すべてはアメリカの謀略であり、事実はなかった.
ウソを構えて他国民を殺害する。それを繰り返している国を日本のマスメディアは賛美する。
リンカーン大統領が偉いなら,普段から質素な生活をして,日露戦争の時には,出征兵士と同じ粗末な食事をした明治天皇の方が数倍偉い。 比較にならないほど明治天皇の方が偉い。
そういえば,日本国民が批判する麻生首相は,明治の元勲,近代日本を独立させた恩人,大久保利通の孫娘を祖母に持つ.
どうかしているのではないだろうか? でも,仕方がないだろう。 日本人としての魂を守るより,強い者にしっぽを振って,少しでも良い生活をしたいというのが日本国民の選択なのだから・・・
私のひがみかも知れないが,どうもアメリカやヨーロッパを賛美する人の,物の言い方が似ているような気もする。
(平成21年1月19日 執筆)