すでに20年、日本は奇妙なことが起こっている。 それを,大きく括ると次のようになっている。

日本人は、一年で,ほぼ500万円を稼ぐ。 こんなに稼ぐことができるのは,トヨタ自動車とかパナソニックなどのような抜群の技術をもった会社があり,それを支える真面目な中小企業と250万人の技術者がいるからだ.

日本人は,一年でほぼ400万円を使う.節約精神にあふれ,環境に配慮し、さらに年金が不安定だからだ.それに,「使い方を知らない」ということが付け加わる。

世にも珍しい民族である。 ドイツの1.5分の1, イギリスの2分の1,アメリカの3分の1しかエネルギーを使わない.

節約しているから,お金が毎年100万円あまる.個人なら銀行に預けることができるが,国全体で余ると預ける銀行がない.そこで「仕方なく」,「官」が使う。 税金と国債という名前であるが,現実には「国民から官に現金が動く」ということだ.

税金は官がその年に使い切ってしまうが、国債は証券が国民や銀行のもとにあるので,何となくお金が残っている感じがするが、もちろん無くなっている。

もし国民と銀行が「国債のお金を返してくれ」といえば,政府は「ああ,そうですか.ではその分,消費税を上げます」と答えるから、もう,預けたお金は日本中、どこにも無いのだ.

現在は,もう少し酷いことになっている.銀行は国民から預かった預金を,国民には貸さずに国債を買っている。 ということは国民は「預金」しているつもりだが,実際は「国債」を買っているにすぎない。

だから,銀行預金を払い出しに行くと,それだけ消費税があがる仕組みである。 すでに銀行預金は「自分のお金」ではなくなった.

消費税を10%まであげると政府は言う。それが「国債という借金を返さなければならない政府の責任だ」と言う.正しい.悪いのは「お金を余した国民」だからである.

なぜ,国民はお金を余したのだろうか?

それは,政府とNHKの作戦に引っかかったからだ。 「もったいない」,「エコ」,「年金」,そして「家畜化計画」の4つが為政者の作戦だった.

もともとお金の使い方が下手で,節約家の日本人に「もったいない」などと呼びかけたらどうなるかはわかっている。 特に財布の紐を握っている主婦は節約に走る.

次に,何も環境は悪くないのに、次々と環境破壊を「創造」して「エコ」で子供たちを洗脳する.事情をよく知っているNHKなどはドンドン,CO2を増やしていくけれど、国民は減らそうとする。 CO2が減ればお金は余る。

年金の不正をわざとやったかは,まだハッキリしていないが、老後が心配になったことは確実だ。 さらに貯金する。

仕上げは,次々と打ち出される「規制」である.

メタボリックで85センチを超えると食事の量を減らさなければならない.自動車に乗れば後部座席もシートベルト,なにはしてはいけない,なにはしてはいけないとなって,国民全部が「猛烈に働いて、電気の消えた昼休みにジッとしているだけ」という家畜になった。

かくして,100兆円のお金が毎年,政府に行く.そこからまず自分たちの給料を取り,昔は「賄賂(キックバック)」をくれるところに配分する。 現在は,賄賂はしにくくなったので,キックバックや天下り、さらに隠れた利権などを判断基準にする.

かつて,日本の武士は「政治をするならお金とは縁を切る」というのが基本だった.それは「お金を前にしたら人間は意地汚くなる」というのが鉄則だからだ。

官僚も悪いが,国民が悪い。お金を余らせば政府が使い、政府は「収益事業」をしないので,帰ってこないことは知っているからである。

「家畜」になるとお金は使えない。お金を使うためには、発明し、新しいビジネスモデルを作り、事業を興さなければならないが,頭を巡らすことができなければ,グルメをしたり,贅沢をするだけになる.

日本人には二つの道が残されている。 一つが活発で明るい社会を造り,自由な雰囲気で人生を送ることだ。 競争社会にはなるけれど、格差は何らかのシステムで限界を決めることができる.

もうひとつは,日本人が全部,政府の家畜になり、何も考えずに黙々と働き、あまったお金はすべて政府が使う・・・今、その方向に向かっている。

(平成21115日 執筆)