NHKが2007年9月に公表したNHKの「環境報告書2007」に大規模な偽装があることが,2008年9月の「環境報告書2008」との対照作業などから明らかになった。
偽装は,リサイクル、温暖化,環境対策などほぼ全体にわたっているが,特に,ツバルの記述と,リサイクル率に大きなデータの作為が見られた.
国民全体に間違った報道と環境報告を行ったということでは,「赤福」など大きく取り上げられた偽装事件より遙かにその規模と影響が大きいが,NHK会長,および環境報告書の監査にあたった方面からの謝罪はまだ表明されていない。
まず,ツバルに関する偽装であるが、環境報告書の7ページに,一年間の番組の中から特に「NHKスペシャル第4回「煙と金と沈む島」(2006年4月30日(日)総合テレビ 午後9:00-9:49)を掲載してある.
その中で,「ツバルは温暖化の影響で,世界で始めて消滅すると危ぐされている南太平洋の島国.2月下旬の大潮で,過去最大の浸水に見舞われました。全土で吹き出した海水で,多くの家が床上浸水しました.」としている.
また,担当ディレクターが登場して,「一番の犠牲者ツバルの人たちは恐らく最も温暖化ガスをだしていない人たちです」と述べ,さらに「温暖化が現実のものであるという前提に立ち,自分たちひとり一人になにができるのか」としていた.
そして代表的映像として,浸水するツバルとCO2をだしている中国の重慶の工場を掲載している。
偽装の事実は以下の通りである.
【第一偽装点】
NHKはこの番組を通じてディレクターの発言通り、「温暖化が現実のものであるという前提に立ち,自分たちひとり一人になにができるのか」と国民に呼びかけ,温暖化の首謀者は京都議定書に入らない「アメリカ」と「中国」であるとしている。
しかし,「NHK」は,京都議定書で1990年を基準として6%の削減を約束した日本の代表的機関であるにもかかわらず、すでに80%も増加している。この増加は,NHKの意志で行ったものであり、アメリカの増加の約4倍に当たり,急速に経済成長した中国をも上回っている。
NHKは自分たちひとり一人でCO2の削減ではなく,「放出」に努力してきた。 これは,放送法が求める「善良な風俗」を完全に踏みにじっており,放送法違反で検挙対象になると予想される。
【第二偽装点】
ツバル(フォンガファレ島を中心とした約30のサンゴ礁群からなる)と海水面についての科学的事実を以下に示す.NHKの報道が著しく事実と反していることは説明の必要が無いほど,明白である。
1) 1892年 イギリス植民地報告
19世紀の終わり、イギリスがツバル地域の島を植民地にしたとき、NHKが報道した島を次のように描写している.
「ファンガファレ島はその大半がマングローブの林で覆われた湿地で、満潮時にはわずかな陸地に空いた無数の穴から海水がわき出していた.」
2) アメリカ軍 飛行場建設
第二次世界大戦中,日本軍を追撃したアメリカ軍は1942年9月に1088名の海兵隊を上陸させ,5週間で湿地を埋め立て,1500メートルの滑走路を完成させた。 この時、飛行場以外の場所のサンゴ礁は著しく破壊された.
3) 1978年 独立後の海水面
ツバルが独立してからの海水面の変化は,ハワイ大学、オーストラリアの研究所、及びツバル気象局 が報告している。その結果を示す.
ハワイ大学:独立後22年で1.9センチメートル上昇.
オーストラリア国立潮位学研究所:この地域で,顕著な海水面上昇は観測されていない。
ツバル気象局長論文(ヴァヴァ氏):海水面は潮位計設置後,約6年で14センチ低下している.
なお,以上の情報はこの地域の日本の第一人者,大阪学院大学 小林忠教授,東京大学茅根創教授らにより公表されていて,誰でもアクセスできる情報である。
つまり,ツバルはもともと満潮時には海水が噴き出すサンゴ礁の島であり、さらに近年,開発によってサンゴ礁の傷みが報告されていた。 その島を撮影するにあたり,月の引力の関係で平均潮位より1メートル近く海水面が上昇する大潮の時を狙って撮影した映像をもとにしたもので,NHKの悪質な偽装は明らかである。
なお,ウソの許されない環境報告書の偽装について,すでに1年以上を経ているが、NHK会長とディレクターの逮捕、謝罪などの動きは見られない.一般の会社より厳しい倫理が求められる公共放送として,信じられない事態である。 なお,この環境報告書は第三者の監査を受けている。偽装の目的と、監査との癒着も調査が必要であろう.
環境報告書2007の中のリサイクルの偽装については,紙面の都合で,次のニュースで報道する予定である。
(平成21年1月12日 執筆)