現在の日本人は,マスメディアの発達などがあり,自分の頭で考えるのは「じゃまくさい」ので、マスメディアのいうとおりに行動だけするという傾向があります.
それに加えて「あなたは何ができますか?」という「悪魔の言葉」が続くので、さらに行動だけに熱中する傾向があります。
その典型的な一つが,「リサイクルして資源を節約する」という運動です。
リサイクルに熱心な人に「リサイクルの目的は何ですか?」と聞きますと、「石油を節約するため」と答えますので,私が「石油は日本には無いのですが,どうして節約できるのですか?」と聞くと,それだけで答えられなくなります。
石油は日本には無いのですから,「石油を節約したい」という希望はわかりますが,産油国がどう考えるかで決まります。 「リサイクルする」という行為だけに熱中して、その目的を軽んじているように感じられます。
私は日本の環境は素晴らしいと思いますが,もし心配なら,何が破壊されているから、それを何をして改善するというハッキリとした目的を持ち、そして実施したら、その効果を自分で確かめて,自分の行為が目的通りの効果を上げたかを見るだけの勇気を求めたいと思います。
ペットボトルをリサイクル箱にいれただけで,どのぐらいリサイクルされているかに関心がないというのもその一つの現れです(自治体は,その自治体内で消費されたペットボトルの量を把握できないので、リサイクル率は計算できず、従ってもし公表していたら,全部、ウソです).
もうひとつ,あります.それは,「日本人は偉いから,産油国にお説教しなければならない」という考えですが,私には傲慢に聞こえます.
産油国は石油が無くなると収入が閉ざされますから,日本より真剣に石油の枯渇を心配しています。その産油国はなぜ石油の節約に関心がないのか?そのことを真剣に考えることこそが現代の日本人に大切なのでしょう。
なにかのレールを踏み外して、森林保護でも、資源保護でも,日本人は自らの国土の資源を壊して(森林については,日本は世界でもっとも荒廃している国,また農業資源も活用していない国),人にお説教をするということになってしまったようです。
特に,その傾向は指導層やインテリに強く見られます。 その典型がNHKで,自分ではCO2を80%も増やしているのに、国民には我慢を強いる番組を続け、キャンペーンまでやっています.
日本は殿様のような偉い人が質素な生活をしていたと言う点で,世界でもまれな国で,「偉い人ほど率先して我慢をする」という考え方がありました.
日露戦争の時には,明治天皇が前線の兵士と同じ貧しい食事で我慢したという話も有名ですが、戦場で死んでいく兵士を可愛そうに思い,せめて食事だけでもと天皇が自ら行動したことは実に立派で、それこそが私たち日本人の誇りです。
もう一度、私たちは日本人の魂と誠実さを取り戻したい。それにはまず,「言動を一致させる」,「自分の国で自分が生きる」という日本人になり、ドイツのまねを絶対にしないようにしたいと私は思います。
(平成21年1月10日 執筆)