今からわずか80年前,日本人の平均寿命はわずか40歳を少し超えたぐらいでした。それが今では80歳にもなっています。
80年で40歳も寿命が延びたのですから,2年経つと自分の年齢は正確に2歳も年取りますが、その間に平均寿命も1年延びるので,「寿命が尽きるまでの時間」という点では,2年経っても1年だけ歳を取った計算なります.
なんとありがたいこと! 2年の人生を楽しんでも,実質1年しか歳をとらないのですから。
ところが,これも甘い計算です。平均寿命を正しく表現すると「0歳児の平均余命」ですから,平均寿命80歳というのは、赤ちゃんに言えても50歳の人には言えません。
それでは65歳になり,そろそろ残りの年数が気になりだして,厚生労働省の平成16年の平均余命表を見ると、65歳で18年.ところがなんと!75歳では11年とあります。
素晴らしい!
65歳で残りの人生は18年と思って人生計画をすると、75歳になると(現在の平均寿命のもとで,つまり平均寿命が10年でまったく延びないとしても),余命はさらに伸びて11年になります.10年も人生を楽しんでも、余命は18-11=7年伸びますので,3年しか縮まらないということです。
つまり2年で1.4年伸びる.そうすると変なことに気がつきました.
平均寿命が2年で1年のび、平均余命が2年で1.4年伸びるということは,時間が2年経つと、自分は2歳も歳をとりますが,残された時間は実に2.4年も伸びるので,「いつまで経っても死ぬことはできない」!?
つまり,2年生きると残りの人生の時間が,不思議なことに0.4年伸びる言うことなのです.普通なら2年生きると,残りの人生の時間は2年,少なくなるのに,ありがたいことに逆に0.4年増えるのです。
おめでとう!近代科学,ありがとう,と叫びたくなりました.
なにしろ,平均寿命の伸びは主に科学技術がもたらしたものですし,高齢者の平均余命は医療の進歩によるからです。
良い時代に日本という素晴らしい国に生まれたことをご先祖様に感謝するばかりで,奇跡は起こるものですね.けれど,これもどれもご先祖様や私たちの代わりに夭折していただいた方のご恩でしょう.
感謝,お正月早々,ゆったりした気分になりました。
(平成21年1月2日 執筆)