1997年に締結した京都議定書で,日本は1990年を基準として2010年頃までに温室効果ガスを6%削減する義務を負っている.

京都議定書が締結された時と異なり,現在では日本と同様に実質大幅削減の調印をしたアメリカとカナダが離脱しているので,削減をしているのは,世界では日本だけになっている.

そして,日本は6%削減の達成が難しく,逆に14%の増加となる見込みである.

ところが2008年秋にアメリカの金融が破綻したことによって,日本では関連産業を含めて80兆円と言われる自動車産業がその生産量を40%減,さらに産業全体で2割減とされる.

このデータに基づいて計算すると,景気後退による個人レベルでの自然減を計算に入れなくでも12%のCO2排出量の減少になる見込みである.

政府は14%増であったCO2を森林吸収分などで数%の形式的削減をしつつあり,それらと合計すると,このまま金融破綻が続き,自動車生産が減少すれば京都議定書の約束を達成できる可能性が出てきた.

なお,日本政府と経団連は「国民に削減を呼びかけるが,経済界はCO2削減の義務を負わない」という密約を結んだが,金融破綻という外圧で実質的に削減をすることになった.

京都議定書の達成を呼びかけていた専門家はまだ金融危機について歓迎のコメントは出していない模様である.

(平成201226日 執筆)