地球が誕生してから46億年,生物が出現してから37億年とされている.そして大気中に酸素がたまり,成層圏にオゾン層ができた後,約6億年前に氷河時代がおわり,カンブリア紀の「生物爆発」がはじまった.

それから大絶滅が2回,やや大きい絶滅が3回あった.その原因はさまざまだが,古生代と中生代の間に第1氷河時代がきて,寒冷化によって生物のほとんどが死滅したとされる.

このときのCO2の濃度は,0.5%ぐらい,現在の15倍と推定されている.何しろ数億年前のことだから,数値ははっきりしないが,CO2は地球が誕生して以来,ずっと減り続けているので,生物が生きてきた時代は,CO2が現在の10倍から100倍ぐらいの範囲にあったものと思われる.

IPCCによると0.035%程度のCO2が,その倍の0.07%になると地球の生物は大変なことになり,多くは絶滅すると危惧されている.

でも,理解できないことがある.一つは,IPCCの報告を見る限り,CO2が0.5%にもなったら,気温は20℃以上も上がることになるが,古生代,中生代もそれほど高くなかったとされていること,

二番目に,生物が増えて以来,6億年も経っているに,なぜ,一度も「温度が上がりすぎて生物が絶滅した」ということがないのかということだ.それもCO2は今よりかなり高かったことは確かだし,気候には変動もつきものなのに,古生物学では「温暖化で絶滅した」という記録を見たことがない.

温暖化問題が起こる前まで,私はこのことを何の問題も感じなかった.というのは,北海道の内陸の気温が,昨日は-10℃,今日は-20℃というように10℃ぐらいは一日で変わるのに,名古屋の気温が昨日は30℃,今日は40℃のようにはならないからだ.

その理由は物理的にはすぐ説明できる.温度が下がるときには水が凍る潜熱80キロカロリーは必要だが,それより低温になると単に熱容量の問題だけになる.

でも,温度が上がると,蒸発潜熱が600キロカロリーほどあるし,さまざまな化学反応の速度があがって,フィードバックがかかるから,温度が上がる方は上がりにくいからだ.

だから,気温変化も,生物の絶滅も,高等学校までにならった物理の知識と相反することはなかった.でも,温暖化が注目されるようになりIPCCの報告がでてから,高等学校の理科の知識と相反することが次々と出てきて,説明が困難になってきた.

温暖化が危険だという科学者の方に時々,お会いする機会があるので,質問をして納得したいと思っている.その時にはまたこのページで説明したい.

(平成20126日 執筆)