自民党の失政が続き、民主党との政権交代が取りざたされている。

 確かに参議院が民主党になったことで、国会の機能は損なわれたが、その反面、従来なら国民に隠されていたことが少し明らかになった。

 私は政府が隠そうとすることを調べて報道するのが、報道機関の最も重要な役目と思うが、それはNHKがある限り、困難だから、ねじれ国会のような犠牲を払って、国民は手に入れなければならない。

 でも、世論の気配はそれを通り過ぎて、衆議院もとりあえず民主党にしなければ日本の政治の闇は解消できないと考えているようだ。まだ政党支持率という点では自民党が上だが、選挙では負けると自民党は見ている。

 政権が交代すると、首相や大臣が替わるから雰囲気は変化するだろう。でも、私は自民党から民主党への変化では「政権交代」と言うことにはならないと考えている。せいぜい、自民党の中で、安部、福田、麻生、そして小沢に変わるに過ぎない。

 それは小沢さんが元々自民党の中心的な人物であり、それを補佐している鳩山さんや菅さんも同じような経歴だからと言うことではない。私は科学者であることもあり「人」を見るより、その人が言っていることにやや注目しがちだからだ。

 また、一国の首相と対抗馬の野党の党首にしては、議論が幼稚で聞くに堪えないと言うこともあるが、それは私の心に「いやだな」という印象を与えるだけだ。もし政策が違えば国民としては判断も可能になる。

 テレビや新聞の議論を見ると、正直、「何を言っているのだろう。井戸端ではないのに」とガッカリする。ゴシップレベルだ。

 現代の日本には対立する大きな進路の違いがある。政治ではアメリカの属国のまま続けるか、日本が独立するかという問題がある。経済もアメリカへの輸出に頼り、アメリカの経済システムを使うかという選択だ。

 もちろん、教育、環境、福祉、軍事、科学技術、国債、年金、北方四島、少子化、議員歳費、消費税、地方自治など、本来なら与党と野党に大きな政策の差があるべきテーマは目白押しである。でも、それらのほとんどで自民党と民主党の政策は同じだ。

 選挙になると、選挙民は麻生さんと小沢さんの顔の好き嫌いで選ばなければならない。そんな判断基準で選挙をしていたら、私たちの子孫は大きな被害を受けるだろう。

 政治経済でもっとも大きな政策上の争点は、「アメリカの属国か、独立した国か」ということだ。

 現在の日本はアメリカの属国である。第一に戦後60年もたち、世界では有数の経済大国になり、自衛隊の軍事予算はあの大英帝国の軍隊とほぼ同じになり、どこから見ても立派な独立国なのだが、それでもアメリカの属国である。

 もちろん、アメリカが日本に軍隊を駐留していることが属国である第一の証拠だ。アメリカは西方防御という点では北はアラスカから、中緯度ではハワイというアメリカ大陸からかなり離れた国土を有しており、南の方はアメリカと敵対する国はない。

 だから、日本に軍隊を置かなくても、自国の基地で西方を防衛することが出来る。

 では、なぜ日本にあれほどの軍隊を駐留させているのだろうか?それはアメリカのアジア戦略と、それに加えて日本がアメリカの属国だからである。属国なら軍隊はおける。そして軍隊を置かれている国はもちろん逆らえない。

 軍事ばかりではない。政治的にも郵政民営化をはじめとして日本の主要政策は、もともと日本から出てきたのか、あるいはアメリカに命令されて始めたのかわからないものが多い。

 すでにイラク戦争関係では、名古屋の高等裁判所が、自衛隊のイラク派遣に違憲判決を出しているが、現在の国会にかかっている懸案は、インド洋でのアメリカ軍への補給の問題である。自国の裁判の結果は全く生かされていない。

 経済でも同じである。アメリカの金融破綻で日本が大打撃を受けたのはその一例に過ぎないが、「額に汗して働いて、その分だけで満足する」という日本の文化を捨てて、「マネーだけが関心事だ」というアメリカ的経済システムを導入してきた結果である。

 ところで、福井前日銀総裁があちこちのシンポジウムなどに出て講演し、それをテレビや新聞が報道している。彼は典型的な属国主義者で、私の倫理観では彼は犯罪人だ。

 一つにはホリエモンや村上ファンドなどが誕生したのは彼が日銀総裁であったときであり、おまけに自らが利率などを決める立場にありながら、個人的なお金をファンドに投資して巨利を得ている。インサイダー取引の権化のような人物である。

 日本人が働いて自動車や家電製品を作り、それをアメリカがドルを印刷して買う。そして日本人の手元に残った新しいドル紙幣はアメリカの銀行に預金されて、アメリカ人がまたそれを使う・・・というまるで日本人が召使いで、アメリカ人が主人であるという状態が続いている。

 これについて、つい最近、経済学者が正直に解説していた。「日本はアメリカの属国になっていた方が豊かな生活が出来るから、日本はアメリカの経済政策に忠実に協力するという姿勢をもっとはっきり出した方が得だ」というのである。魂は感じられない。

 経済学者がみんな同じではないが、何しろお金を研究しているので、お金がすべてと考える傾向がある。お金があっても豊かな生活は出来ない。でも精神が抜け落ちた人はお金だけでよいのだろう。だからアメリカの属国政策を支持している。

 私は日本は独立した方が良いと思う。お金という点で少し損をするとは思うが、その方が豊かな人生を送ることが出来る。

 「反アメリカ」ではない。独立国、アメリカの友好国として「独立国同士のパートナーシップ」であり、それにアメリカが同意しなければ、すこし離れていれば良いだけである。

 「アメリカの属国から独立した日本へ」という政策を掲げる政党はないものだろうか?日本に駐留しているアメリカ軍にはお引き取りいただき、イラクやアフガニスタン侵攻については距離を置き、日本からアメリカへの輸出に際しては半分を円決済にし、アメリカの経済システムを「汗をかく」システムに変更する・・・変えなければならないことは多い。

 次の総選挙までに、現在の政策と異なる政策を打ち出す政党は出現して欲しいものだ。そしてマスメディアも少しは本質に切り込んで欲しい。

(平成201123日 執筆)