子供には子供がやることがあり、大人には大人の役割がある。大人の役割で一番、大切なことは「孫の時代には、自分たちよりすこしは良い人生を送ってもらいたい」ということだ。

つまり日本の孫を守るのは、日本の今の大人である。

私はいつも、明治の昔を思い出す。江戸末期、日本が開国したときにちょうど、ヨーロッパやアメリカが次々とアジアの国を植民地にしていた時代だ。フィリピンはスペインからアメリカ、インドシナはフランス、インドネシアはオランダ、インドやビルマはイギリス、そして中国まで実質的に列強に分割されていた。

恐ろしい時代だった。イギリスは中国が「麻薬のアヘンを買わない」と難癖をつけて「アヘン戦争」を起こした。何という暴虐だろう。でも、それが弱肉強食時代の掟だったし、今でも表面は柔らかくなったけれど、「力で解決する」という原理原則はほとんど変わっていない。

それはともかく、私たちの祖父と祖母は二〇三高地に突撃して死んだ。そして祖国、日本を守り、それが今の私たちの繁栄につながっている。1910年以後の戦争の意味は、良く考えてみなければならないが、そこまではどこから見ても正しかった。

21世紀。日本の将来はそれほど楽ではない。日本は四面を海に囲まれていて、温帯にあるので、世界の他の国に比較して、環境が破壊されるのは最後だが、エネルギーと食糧は問題は真っ先にくる。そして、それに加えて「豊かで楽しい生活」を続けられるかということだ。

最近の大人は「自己チュウ」になってしまったから、自分自身は「クルマ、テレビ、冷蔵庫、エアコン、水洗トイレ」をふんだんに使っているのに「もっと原始的でよい」と口で言う。言っていることとやっていることがまったく離れてしまっているのだ。

もし、現代の日本人、特に指導層の人が言うように、「環境の為に節約」などをしたり、「アラブの石油を節約」しようとすると、第一に日本人の活動力が減り、第二に若者が元気がなくなる。

表面上はよく見えないけれど、今は、残り少ないアラブの石油を取り合っている。本当になくなるまでに次世代の国家を作った国が勝つ。

このままでは、日本の国債競争力はすこしずつ低下していって、これから30年後は、日本人は貧しい生活を強いられるだろう。その時に、私たちはすでに鬼界にいるが、「俺たちは豊かな生活をしたけれど、君たちはそれでよい」というのだろうか?

NHKは将来を悲観的に描くので、若者は勉学の意欲を失っている。そして地道に生産したり、研究するより、あぶく銭を求めるので、物理学のような地道な学問に興味を持つ人は少なくなり、高校生の10人に1人しか物理を履修しなくなっている。

物理を履修しなければ、力学も電気もわからない。わからなければ自動車会社も電気会社も作ることはできない。そうすると私たちの孫は他国に負けて貧乏な生活を強いられるだろう。

私は「環境は悪くなっていない」、「環境問題というのは利権だ」と言うことを明らかにし、「家庭生活や人生と、国家の発展は別だ」ということも明確にする努力をしている。もしそれが成功したら、日本の若者は元気を出して将来を見つめ、家庭生活や人生では心を豊かにする方向を向いてくれるだろう。

(平成201016日 執筆)