温暖化が問題になっている。私は「温暖化は良いことばかり」という考えだが、日本社会では一般的に「温暖化は怖い」と言われている。
特に、「今の気温が2℃もあがると、ひどい環境破壊になる」と警告しているのは、霞ヶ関の日本政府、新宿の石原都知事、上野の東大教授、そして渋谷のNHKだ。
気象庁によるとここ100年で日本の平均気温は1.1℃上がっているという。私が気象庁のデータから都市化の影響の部分を差し引いても、0.5℃ぐらいは上がっているようだ。
でも、東京はこの100年で3.5℃上がっている。特に、ここ20年、温暖化が問題になってから2℃も上がっている。大変なことだ。
政府やNHKの言うとおりなら「東京はすでに大変な環境破壊が起こっている」ということになる。
そして、もし東京を改造して都市化による温暖化を解決すれば、気温は2.5℃下がる。もし「温暖化でひどい環境破壊になる」というなら、世界全体のCO2を減らすより、東京を改造した方が簡単だ。
CO2による温暖化を防ごうとしたら、世界中の国が一致協力しなければならないが、東京だけなら東京に住んでいる人だけで決められる。
しかも、すでに「危険レベルの2℃上昇」という事実があるのだから、みんなの意志も統一できるだろう。
さらに、政府は霞ヶ関、都庁は新宿、東大は上野、そしてNHKは渋谷、と「権力者」はみんな東京で仕事をしている。だから、さらに話は簡単だ。
ところが、よくよくその人たちの発言を聞くと「私はエアコンの中に入っているので温暖化は平気です。田舎の人、あなたたちは生活を犠牲にしてCO2を減らしなさい」と言っている。
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先日、あるところで、「CO2が原因になる温暖化は防ぐのが難しいかも知れませんが、ヒートアイランド現象は防げるのではないですか。都市を改造するだけだから」との質問を受けた。
私は次のように答えた。
「ダメでしょう。それは東京に住む日本の「偉い人」が二重人格というか、私が書いた「リサイクル幻想」で使った言葉で言えば「両価性」を持っているからです。
「両価性」というのは価値観に違う二つのことを、同時に言ったり、行動したりしても、本人もその矛盾に気がつかないという精神状態です。もともと心が二重なのですから。
東京にいる偉い人は、「温暖化を阻止しよう」と呼びかけ、自分は「温暖化を加速する」という生活をし、3.5℃も上がった東京を改造しようともしていないのですから両価性という病気にかかっています。
人の心の底はなかなかわかりません。でも、その人の行動は、その人が考えていることそのもののはずです。だからもし「政府も、都知事も、東大教授も、そしてNHKも」両価性でなければ、心の底から温暖化が怖いとは思っていないということになります。そんな人たちが東京を改善できるはずはありません。」
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人が誠実であることは難しい。
私は科学的にも「温暖化は良いことばかり」と考えているが、もし私が「温暖化が怖い」と思うようになったら、そしてそれを口にするようになったら、私は現在の生活を全部捨て、活動を全部やめ、そして隠居するだろう。
NHKも多くのチャンネルをやめて、NHK総合だけにして、それも放送時間を制限するだろう。まず、自分からやらなければならないから。
リサイクルをしても、エコ替えをしても、出張を飛行機から新幹線に変えても、白熱球を蛍光灯に変えても、そしてレジ袋をやめても、CO2は変わらないからだ。
誠実とはそういうものだ、と私は思う。
(平成20年9月27日 執筆)