連日のようにアメリカの大手の証券会社の倒産が報じられている。他国のことだからそれほど直接的には自分の生活に関係ないとは思えないところに、「グローバル経済」というものの恐ろしさがある。

 日本人はアメリカ大統領の選挙権はない。もちろん、アメリカ経済の仕組みなどを選択することもできないのに、アメリカ経済の影響を受けて、ガソリンの値段や株価の上下など毎日の生活に影響を受けるのだから、これが民主主義というものか?といぶかしく思う。

 経済学に人情はない、経済学に倫理はない、なんと言っても「お金」は汚いものだ、それが世界を牛耳るという自体が間違っている・・・と言えないこともないが、歴史的な経済学の巨人は哲学者であり、人情家でもある。

 それなのになぜ、現代の経済学は非情なのだろうか? ファンドマネーなどというものを勝手につくって、それで灯油代が上がり、冬に寒い思いをしても、「おまえはファンドの動きも見ないで生活設計をするから悪い」と経済学は全く冷たい。

 経済学者はただ解説をしてくれるだけで、助けてはくれない。テレビを見たり新聞を読んだりしていると、バカは損をしろと言わんばかりだ。

 日本の政治が扱っている経済を見ると、

1)  自由化して銀行と証券の垣根を無くし、お金をペーパー化するのが良いという指導者、

2)  税金をとってバラマキが良いと言う指導者、

が街頭で演説をしている。だれも、「技術を磨き、額に汗して働こう。お金は後退してもらう」とは訴えていない。

 倒産したアメリカの証券会社は、あまりに証券化したペーパーを複雑な仕組みで発行したので、損害額が特定できないと報じられる。そんなシステムが社会正義を持っていると考えることはなかなかむつかしい。

 人間が幸福になること、毎日の生活が安定すること、働いたことが反映すること、それを補助するのが経済だから、ペーパーとバラマキはともに私たちが期待する経済とは全く違うものだ。

(平成20917日 執筆)