真冬、気温は零下ギリギリで凍るような寒さでも、お風呂を少し熱めに沸かして上のふたでも開けてしばらく経つと、お風呂場の温度が上がってそれほど寒さを感じないでお風呂を楽しむことができる。

 なぜだろうか?

 お風呂とお風呂場の大きさを比べると、お風呂場の方がズッと大きい。冷えた空気でお風呂のお湯が冷めそうなものだが、お湯は冷めずに、お風呂場の温度の方があがる。

 なぜだろうか?

 それは「水」の方が「空気」より熱を貯めやすいからだ。これを専門用語では熱容量というけれど、普通の人は「熱を貯めやすいものと貯めにくいものがある」と覚えておけば日常生活では困らない。

 ところで、水は空気の3500倍の熱をためることができる。だからお風呂場が大きくても、その広さを3500分の1にするとお風呂の水の熱と比較できる。だから、空気は「ほとんど熱を持っていないようなもの」なのである。

 ここまで科学の勉強をして、温暖化に進もう。

 地球上の全部の大気の温度は30年後に1℃ぐらい上がるとIPCCは言っている。この予測は科学の計算上のことだから本当かどうかは別にして、IPCCはそう言っている。

 でも、お風呂場と同じで、私たちは「海」というお風呂場にいるようなものだから、大気の温度は海水の温度に影響される。だから、「海洋性気候」とか「昼は海の方から風が吹いてくるから涼しい」などと言う。

 地球上の大気と海の大きさ、陸にある氷、それに氷が融ける時の熱を比較しよう。

大気         

1

海       

  1000

氷        

    6

融ける時   

      860

 つまり、地球上の海は、大気の1000倍の熱を持っている。だからもし気温が1℃あがったら、海水温は0.001℃あがるということになる。簡単に言うと「気温が上がっても海水温はあがらない」と言っても良いし、地表は「お風呂場のように気温は海水温で決まるから温暖化とか寒冷化はあまりしない」でもよい。

 地理的には日本のように海のそばにいると気温の変化が少なく、内陸ほど大きくなる。

 だから温暖化とか寒冷化と言ってもそれほど急激な変化は無いだろう。もちろん、海水温というのは表面の100メートルぐらいが気温と関係しているし、それより下は10℃以下だから、海流などで混ざる時間がいる。

 ところで、氷もバカにならない。南極の中心部は2000メートル以上の氷があるけれど、陸地の氷を全部1℃あげようとすると、大気は6℃もあがらなければならない。

もっと大変なのは、氷が融けることだ。これを専門語では相変化の熱というけれど、実に860倍である。つまり地表の氷を全部、溶かそうと思ったら、大気の温度を860℃分だけあげる熱がいる。

容易には氷は融けそうにない。実際には北極の氷は融けることがあるけれど、それは気温が高くなったから融けたと早合点しないで、ゆっくり考えた方がよい。

(平成20816日 執筆)

(私自身はあまり気にしていませんが、私の説明が「学問的に雑だ」と言う方がおられますが、専門用語や学問的に厳密な表現をするのは論文を書くときで、一般書やホームページではわかりやすく書いています。でも、書いてあることが易しくても、そのまま受け取っても間違いが無いようになっています。たとえばこの文章では大気に比べて海水は1065倍ですが、覚えやすいように1000倍としています。このホームページのことを考えるときにはそれで間違いはありません。)