温暖化については、よほど強い関心があるのだろう。多くの問い合わせがある。その問い合わせに共通している部分を、すこし解説を加えておきたい。

 まず、第一に「世界の多くの国が温暖化の対策をとっている」という認識だが、これは間違っている。北アメリカ諸国、南アメリカ諸国、アジア諸国、アフリカ諸国、そして旧ソ連と東アジア諸国はいずれも、温暖化対策をとっていない。

 だから、温暖化対策をとっているのは世界のほんの一部の国であり、主として植民地を持っていた国であるということができる。西ヨーロッパでもたとえば、イタリアはまったく無関心である。

 第二に、気温や海水面の予測、温暖化による被害予測には以下の三種類がある。

1)  IPCCの第四次報告(第一と第二作業部会)によるもの

2)  NHK報道によるもの

3)  一般的な物理学者、気象学者の論文も加えて判断したもの

 たとえば、100年後の気温については、IPCC2.8℃としているが、NHK6.4℃とし、一般的な気象学者はこれまでの100年間の気温上昇は、0.3℃程度と推定している。(科学は未来を予測しないので、原則的には科学者は未来を示していないことが多い。)

 温暖化の被害では、IPCCは日本の被害の記載は無いと言っても良いが、NHKは甚大な被害を予想している。NHKの根拠は不明だ。NHKは科学者では無いから、温暖化のような「科学が作り出した創造型環境破壊」を論じる資格はない。

(注)「科学が作り出した」という見慣れない表現については、機会を見て解説をします。「政治」ではなく「科学」です。

 そして一般の物理学者や気象学者の論文を参考にすると、平安時代や縄文時代より少し低いぐらい(2℃ぐらいまで)なら、気温が上昇するメリットの方が大きいとしている。

科学には上下関係はないので、IPCCと一般の学者の重みは同じである。

 VOICE9月号で、養老孟司先生がNHKの温暖化報道に触れ、「科学として本来、当然に触れなければならないことに触れなかった」として、報道の欠陥を指摘している。

 私も恣意的な報道は数多く見ているので、この面からもNHKの報道は排除される。

 私に対する質問に、1)と2)が混同されていることが多い。

それをハッキリさせるために、私自信はIPCCの報告書は単なる「学術的でもない」一つの参考文献と見ているが、それでも「IPCCによれば」ということに絞って「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」で、報道の不正確さを指摘した。

 創造型環境破壊は、科学が勝手に作り出したものだから、その真偽は科学のテーブルで決着をつけなければならない。かつて、ヒットラーのドイツや、スターリンのソ連がやったように、「政治が科学に優先するのだから、黙れ!」というのは科学に対する冒涜である。

 NHKは「創造型環境破壊」について独自の判断をしてはいけない。まして、養老先生が指摘された番組のように、自然科学の訓練を受けていない論説委員が語ることではない。もう少しルールを守ってもらいたいものである。

 科学のルールは、根拠をハッキリし(IPCCの報告書によるなら、それから外れないこと)、反論を歓迎し、それに真摯に答える必要がある。その手続きをいとわない科学者だけが「創造型環境破壊」について論じることができる。

(平成2089日 執筆)

(注)創造型環境破壊や類似の用語については、すみませんがご使用になるときには私に連絡してください。