数年前だろう。環境省から「冷房温度を28℃にする」という「指導」があり、お役所はもちろん、家庭でも冷房温度を高くして「環境に良い生活」が呼びかけられた。

 環境の為に「我慢」の一字だ。

 本日、「はなまるマーケット」という番組で、一ヶ月に電気代を1400円から3400円も節約する「冷房の仕方」を詳しく説明していた。ポイントは、扇風機を使うこと、風の向きを工夫すること、除湿のタイミングをはかること、だった。

 環境に役立って、しかも「我慢」はしなくて良い。

 国民に我慢させる「官」、同じ快適さで電気を減らすことができる「民」。いったい、「官」は「民」を指導できるほど力があるのか?

 環境省は大きな税金を使っている。それなら、まず「国民が我慢しなくても、環境によい生活」こそ、アドバイスしなければならないが、そう言う気持ちも、能力もなく、それでいて形式的にだけ、「指導」をすると威張っているので、こういうことになる。

 実に、象徴的だ。

 そう感じながら、さらに番組を見ていると、驚くべきことがわかった。10年前のエアコンと、現在の「省エネ家電」を比べると、「省エネ家電の方が、電気を使うことになっている」ということだ。

 「同じ快適性」でエアコンを使うには、温度が冷えたら除湿などに切り替えて電力を節減すると良いのだが、最近の省エネ家電は、除湿しすぎると暖房をするようになっていたのだ!これには私のように科学の仕事をしているものにとっても、驚きであった。

 番組では「冷房中に暖房するというのは、より快適な室内環境の為」と控えめに紹介し、さらに「リモコンには単に「除湿」となっているだけなので、使う方はわからない」とやわらかく批判もしていた。

 私は「幸之助精神はどこに行った」という一文を書いたことがあるが、家電メーカーも「日本人の誠」を失って、お客さんをギリギリだませる作戦をとっているのではないか?

 エアコンの売り場には「省エネ家電」とか「エコ替え」と書き、その横に「**除湿」と示しているのだから、間違える消費者が悪いと家電メーカーは言い訳をするだろう。

 私は電気を節約せず、快適な生活をするのは悪くないと思っている。それは個人個人の人生観の問題であり、「地球環境の為」とまで大上段にかぶる必要もないことだ。

 今日、友人の軽自動車で空港まで送ってもらった。よく走り、快適だ。もし環境省も家電メーカーも、自治体も、本気で「環境の為に節約しよう」と思っているなら、そして、本気で「温暖化を防ごう」と考えているなら、大臣、社長、そして市長が率先して軽自動車に乗らなければならない。

 言動は一致することが大切なのである。私は「環境に良い」の前提は「一人一人が誠実であること」だと思っている。騙されたことがわかったときほど、悔しくてイヤな気持ちがすることはない。

(平成2085日 執筆)