環境やエネルギーの話になると、すぐ水素が出てきます。数年前には「水素社会」という言葉が社会を賑わしたり、今でも「燃料電池」、「水素自動車」など「水素」という言葉が出てきます。

 自治体によっては数億円のお金で「燃料電池自動車」などを買う計画もあり、環境運動団体なども支持することがあります。

 「水素」とはいったいどういう物なのでしょうか?

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 今から150億年ほど前、宇宙の中心で「ビッグバン」と呼ばれる大爆発があり、私たちが今、生きている宇宙が誕生しました。

 その時に、何もなかった宇宙から次々と「元素」が創造されたのですが、最初に水素、それからヘリウムができ、それがものすごい勢いで真っ暗な宇宙空間に飛び散っていったのです。

 私たちの体を作っている炭素、酸素、窒素などはそれから少し時間が経ってから出来た元素で、なんと言っても「水素」は「最初にできた元素」としてとても特徴的なものです。

 一番、大きな水素の特徴は「小さくて軽い」ということで、何しろ最初にできた「小さな子供」のようなものです。

 元素の「重さ」は「原子量」という数字で表します。人間で言えば体重のようなものですが、水素はたったの1、炭素はその12倍の12もあります。つまり水素が5ヶ集まっても体重が5キロ、炭素なら60キロになりますから、まるで小さな子供と大人のように違います。

 宇宙が創造され、太陽ができ、地球が誕生した頃、地球にも多くの水素がありました。水素だけが二つ集まった「水素分子(H2)」、「水(H2O),「有機物(CH2)」などです。(無機物の中にも少しあります。)

 このうち、「水素社会」という時の「水素」は「水素分子」ですが、それは重さ(分子量)が水素原子2つなので「2」しかなく、余りに軽いのでそのうち、宇宙空間に飛んでいってしまいました。今では、水と有機物に水素が含まれているだけになったのです。

 自動車や電池に水素を使おうとすると、使えるのは「水素分子」だけで他のものは使えません。そこで「水素を含む水や有機物」から「水素」を製造しなければなりません。

 まず、自ら水素を作るのはどうかというと、水は「酸素と水素」で出来ていますが、あまりの強く結合しているので、それを引き離すことは大変です。普通は、「電気分解」という方法で自ら水素を取りますが、「水素を取り出すために使うエネルギー」は「取り出した水素のエネルギー」より大きいので、何をやっているのかわからなくなります。

 

 つまり、自ら水素を取り出すときに、石油などから作られた電気を使い、そのエネルギーを100としますと、自ら取り出した水素のエネルギーは80ぐらいにしかならないので、それなら最初から電気をそのまま使った方が良いと言うことになります。

 次に有機物から取る方法ですが、有機物としては「動物、植物」のような生き物と「石油、石炭、天然ガス」のような化石燃料がありますが、生き物をドンドン殺すのはかわいそうですから、化石燃料から取るのが普通です。

 有機物(石油など)は炭素(C)が一つと、水素(H2つからできています。だから、有機物から水素を取り出すには、この二つと引き離すためには炭素(C)を酸素(O)とつけて、二酸化炭素(CO2)を作り、それで水素を作ります。

 もちろん、この場合も、原料となる石油のもっているエネルギーより、取り出した水素のエネルギーの方が少ないので、「どうしても水素が欲しい」という特別な場合以外はこんなことをする人はいません。

 さらに、水素を作る時に二酸化炭素(CO2)が大量に発生します。

 もし「水素を使えば、CO2もでないし、クリーンで、エネルギーも枯渇しない」という人がいるとして、その人が「科学者」だったら、その人は申し訳ないけれど「詐欺師」です。

 科学は内容が難しいので、人をだますことが出来ますが、専門家は自分の持っている知識を悪用してはいけません。ましてそれで自分が少しでも得をすることがあれば、それは「サギである」と自戒しないといけないのです。

【結論】

 地球上にはエネルギーになる水素はない。

 水から水素を取りだすと、エネルギーは赤字になる。

 石油から水素を取り出すと、CO2がでて、エネルギーは赤字になる。

 自治体は決して水素自動車を買ってはいけません。自治体には理科系の人もおられるでしょうから、それはウソをついて税金を使うことになるからです。

(平成2083日 執筆)