西日本が猛暑にうだった1週間。環境について、7月30日、二つの怪談話があった。
一つは、日本テレビの環境省報道である。環境省は鋭いテレビの連続的な攻勢に屈して、次のことを明らかにした。もちろん、本来は環境省は国民の見方だから、隠すはずはないが、実際には隠している。
明らかになったことは、すごいことだった。
1) 環境省に飾られていて、時には大臣が「リサイクル商品」と紹介していた商品は実はリサイクル品を使っていなかった(新品だった!大臣の虚言)。
2) リサイクルについて、これまで「リサイクル率」としていたのは、実は単なる「回収率」であって、どの程度、リサイクルされているかのデータは無い。今までウソをついていた。(これはアナウンサーの発言のように覚えている。)
実に大きな偽装である。これが中小の食品会社なら、社長は謝罪する、営業はとまるで、倒産の危機に瀕するだろう。でも、環境省の大臣は謝罪せず、環境省は業務を自粛していない。
このビッグニュースに対してNHKは単に「リサイクル法を改正する動きがある」とだけ伝えた。相手が中小食品会社など弱い人ならおそらくかさにかかって偽装を報道するだろう。
第二の怪談話は、NHKが行った「温暖化の怪談話」だ。
これまで、NHKは科学番組やバラエティーで温暖化を扱い、CO2が温暖化の原因であること、温暖化が起こると環境に致命的な影響を与えると繰り返し報道した。
しかし、このNHKの番組で、それらが「怪談」であって「現実」ではないと宣言した。これまでのNHKの温暖化報道はパロディーか、あるいは架空のものであって、決して、現実に起こることではないことを報道した。
このNHKの怪談報道は良くできていた。
温暖化が進むと、シベリアの永久凍土が融けて湖が出来るという。大変、結構なことで世界的な水不足の中、巨大な淡水資源が解放されることは誰が見ても良いことだ。それを「環境破壊」と表現していたのだから、仕立ても怪談だが内容も怪談だ。
シベリアの永久凍土というのは自然の一部ではあるが、大砂漠と同じように地球上では活動が極端に少ない、いわば死んでいる部分である。それが温暖化によって生き返るのだから、大変、すばらしい。
また、何人かの学者が出演していたが、「私の子供のころに比べると」と発言され、それ以後の発言が「学問」や「科学」ではないと断っていた。およそ、地球の変化を解説するときに、自分の人生の時間が入るようなことが科学ではないことは誰でもわかることである。
環境省がリサイクルの大規模偽装を自白し、NHKが温暖化報道は怪談話だったと白状したのは意義がある。環境というのは大切なことだから、役人のメンツより謝罪が必要であり、誤報は訂正しておかなければならないからだ。
ところでNHKの番組は怪談だから、そこで語られたことは全部、ウソであるが、一つだけ気になったことがある。それは「自然は一つの輪になっているから、一つが切れると全部に影響する」ということを、男女2名の解説者が言っていたが、これは全くの間違いだから、一応、訂正しておく。
自然というのは、「一つの輪」ではなく、「一つの世界」を作っている。その世界は非常に複雑で、一つが変化したら、それに対して無数のものが動き、次の「平衡」へと動く。だから「自然の輪」などは存在せず、「あらゆる変化に、すべて対応できるシステム」が存在するのである。自然はもろくはない。
怪談話でも、児童が見ているから科学的に間違ったことを言ってはいけない。
(平成20年8月1日 執筆)
この文章をアップした後、「回収をリサイクルと言っていた」という趣旨のことを言ったのはアナウンサーかもしれないと思い出したので、そこを修正しました。しかし、環境省の担当者がせっかくのテレビの取材に対して、黙秘権(そんなものは許されていないが)を行使しているのは実に不快だ。
公務員は国民の公僕であって、国民を指導する立場にはない。だからテレビ局がかなり踏み込んで質問しているのだから、それに積極的に答える義務がある。
特に、容器包装リサイクル法では「リサイクルをしているかどうかわからない」という基本的欠陥があり、それをたびたび聞かれているのだから、より積極的に答えるべきである。
でもそのことと、環境省が正式に数値のごまかしを認めたのかは別だから、修正をした。