この世には、一流大学の入学試験や公務員試験に合格しても、「足し算」ができない人たちがいる。

 

 読者の方から「60円の白熱電球と1000円の蛍光灯タイプのランプの生産から寿命が尽きるまでの二酸化炭素発生量」についてのメールをいただいた。

 

 60円の白熱電球は構造が簡単で、原料や製造の時の負荷はずいぶん少ない。少ないから安い。

 

 1000円の蛍光灯は60円ではできない。もし60円でできるものを1000円で売りつけているならメーカーは悪徳だ。1000円のものは1000円かかっており、それはエネルギーであったり、水銀だったりする。

 

 確かに、使っているときだけの電気代(二酸化炭素排出)なら蛍光灯が少ないだろう。そんなことは子供でもわかる(子供に失礼!)。それを白昼堂々、公務員や大会社の幹部が「私は足し算が分かりませんので、電気代だけを計算しました。」と言って「科学技術立国」と言われる日本で公表する。

 

 もちろん、環境を考えるなら、

「資源を獲得するために出た二酸化炭素」

「ランプを生産する時にでた二酸化炭素(もちろん設備や建物も)」

「使用中の電気量」

「廃棄するときに蛍光灯の水銀を処理する社会的経費」

「運搬、保険、税金、道路・・・などの一般的な社会的負荷」

の各項目は最低でも「足し算」しなければならない。

 

 でも、可哀想に、環境省やランプメーカーの人は「足し算」ができないらしい。

 

 足し算ができない大会社は結構、多い。

 

 新幹線を運行している大会社は「航空機に対して新幹線で移動すると二酸化炭素の排出量が10分の1」とテロップで流している。しかも白昼堂々と、長期間にわたって流しつづけている。

 

 単に「移動するための燃料」だけならそうだろう。そんなことは子供でも判る(子供に失礼!)。かたやレールの上を走り、方や空を飛ぶのだから重力に逆らっている分だけ航空機の方が大変だ。

 

 でも、鉄道はレール、橋、トンネル、駅、駅までの道路、架線を東京から大阪までずっといる。それは「足し算」していない。航空機なら飛行場と飛行場の間はなにも要らない。そのかわり重力に逆らう。

 

 もう一つ、足し算をしない大会社としては、小さな電気自動車を売り出しているところだ。

「この車は二酸化炭素をだしません」

という宣伝ビデオを作り、おそらく「足し算ができません」という意味だろうが、子供と女性を使っている。差別ではないか?

 

 足し算をしなければならない。

「電気を作るための装置、変電、配電」

「電気を作るために消費するエネルギー」

「走るために使ったエネルギー。修理代・・・」

「その車が走る道路、信号、保険にかかるエネルギー・・・・」

 

 上から3番目だけがゼロらしいが、それも怪しいし、第一、足し算もしていない。ご丁寧に、この会社の宣伝を見ると上から2番目の非難をかわすためだろうか、ビデオの背景に「風車」を写している。

 

 「電気はなにで作るのか?」と聞かれて「原子力」と答えるとややこしいので、風力発電で車を走らせるらしい。さもしい・・・

 

 算数の先生、もっと環境省の役人や大会社の幹部に足し算を教えて欲しい。

 

(平成20423日 執筆)