一人の外国のジャーナリストが日本にやってきた。彼は日本の医療の状態を知ろうと大病院の産婦人科に行った。そうするとなんと!次から次へと赤ちゃんが誕生しているではないか!

 

 取材してみるとこの病院では一日に3人の赤ちゃんが誕生すると言う。そうすると一年にザッと1000人だ。このような病院が日本には1000ぐらいあるという。

 

 記者はそっと計算して見ると、一年に100万人の赤ちゃんが誕生する!これは大変だ。どうも、以前から日本人というのは、特攻隊のように自分の命を捨てて攻撃を仕掛けてきたりするので、何となく変だと思っていたら、一年に100万人も増えているので、そんなことが起きるのだ・・・そういえば日本人の自殺が多いのも、その理由だ!と記者は合点がいった。

 

早速、その記者は本国に記事を送った。

「日本では毎年100万人の赤ちゃんが誕生している。だから、人口は増え続けるので、なんとかそれを減らそうとしている。日本人の自殺も特攻隊も人口増加を抑えるのが目的だった。」

 

 記事を送ってすぐ、本国の編集から質問が来た。

「日本の人口の増減は、誕生した赤ちゃんだけを数えてもダメなのではないか。誕生する人と死亡する人の「引き算」と思われるが・・・」

 

 これと同じことが「南極の氷」についての日本の報道である。

 

 南極大陸は、いつも中心部で雪が降っていて、それが徐々に氷河となって周辺に流れ、やがて周辺で融ける。だから、中心部は常に新しい氷が誕生し、周辺部ではいつも氷が融けている。

 

 だから、「南極の氷が減っているか増えているか?」は「周辺部で融けている氷」を見ても判らない。ちょうど、日本の葬儀場に言って死んでいく人だけを見ると人口が減っているように見えるだけだ。

 

「南極の氷の増減」=「中心部でできる氷」―「周辺部で融ける氷」

であることは小学生でも判る。(小学生に失礼だが)

 

 今日もテレビは南極の周辺部にヘリコプターを飛ばして融けている氷を撮影し、「南極の氷は減っている」と叫ぶ。テレビの記者も頭が錆び付いてきたものである。

 

 南極大陸の周辺部の氷が融けていることと、温暖化とはまったく関係が無い。地球が寒冷化しようが温暖化しようが、南極大陸の端の氷はいつも融けている。

 

 南極の氷は中心部に降る雪によってできる。その雪はやがて氷になり、さらに流れて周辺部へ向かう。でも、あの膨大な南極の氷でも赤道まで流れる元気はない。その途中のどこかで融けてしまう。それが現在の「南極大陸の端」を作り出す。

 

 思いこみによる錯覚は恐ろしいものである。

 

(平成2044日 新しく執筆)