2008215日、ある大新聞が温暖化の特集(全面広告版)を行い、そこで次のような報道をした。

 

 記事:「IPCC(中略)、今世紀末には20世紀に比べて最大で平均温度が6.4℃(中略)上昇する可能性があるなどの予測を発表した。」

 

 事実は違う。この大きな記事には温度については6.4℃という数字しか出てこない。でも、次のグラフを見るとIPCCとは異なることが判る。(このホームページで既出)

 第四次報告温度図2.jpg

 

 このグラフはIPCCが第四次報告の中心的なものとして示したグラフだ。どう見ても、横軸の2100年のところの予想線は、最大で4℃であり、平均的に見ると2℃台である。6℃などという予測線はどこにもない。

 

 なぜ6.4℃というのが出てきたかというと、IPCCが特殊なケースを想定し、文章やこのグラフの「外」に参考として示してあるもので、IPCCはさすがグラフには載せなかったような特別なケースだ。

 だから報告書にある数字ではあるが、それは正式なグラフに載せなかったぐらい、特殊な場合なのである。

 

 この記事を書いた記者は、IPCCの報告書を読んでいないのだろう。記事を書くときに「噂」で書いたのだからなかなか度胸のある記者だ。

 

偽装報道の震源地、つまり噂の出所は、NHKだが、クレームがつけられたら「「最大で」と書いてあるではないか」と言い訳をいうとは思うが、IPCCの報告書を読むことはない多くの人を考えると、とても誠意のある報道ではないと私は思う。

つまり、現在の日本の新聞は、読者が事実を知ることができるのではなく、新聞社のお説教を聞くだけなのだ。

 

 この記事には次々と偽装報道が続く。それは8ページにわたる記事全体が「温暖化で儲けたい」という企業の宣伝だからだ。新聞としては「折り込み広告」ではなく、れっきとした新聞の体裁をとり、単に「第二部」となっているだけだ。よくよく読まないと「広告」とは思えない。

 偽装報道は時としてこのような形を取る。つまり、正式な記事として掲載せず、読者はうっかりそう思うというスタイルを取る。私には誠意ある新聞の作り方とは思えない。

 実は、新聞の形をした全面広告は、広告ではあるが、そこに書かれていることは新聞社が書いた事実であり、単に広告として出していると受け取るからだ。でもその記事は「読者のため」ではなく、「お金の為」であり、事実を報道しないという現在のマスメディアの一端が除いて見える。

 

 でも、マスメディアには真面目な記者が多い。その人たちが「お金のために事実以外のものは書かない」という倫理を持ち、グループの力を強くしてもらいたい。

 

(平成20215日 執筆)