技術者よ、立て!

 

 あなたは技術に対する信念があるはずだ。技術の力でこの社会を少しでも良くしていこうと日夜、努力してきたはずだ。

 

 時に氷雨が降る夜中に長靴を履いてプラントを見回ったに相違ない。そんな時、本社の営業は銀座で飲んでいただろう。

 

 でもそんなことは気にならない。それが技術者のプライドだ。私たちは技術者だ。

 

 製紙会社の技術者のみなさん。リサイクルの偽装は経営者の責任かも知れないが、技術者が手を下さなければ経営者は偽装の紙を作ることはできない。

それはいつから判っていたのか?それを公にして欲しい。

 

 技術は偽装を嫌う。事実こそが技術だ。

社内での反対は無かったのか?品質の保証にリサイクル率の偽装が入っても認めたのか?技術陣は何を訴えたのか?

 

 製紙会社は個人の会社かも知れないが、同時に社会的な存在だ。特にリサイクルでは小さい子供たちまでが夢をもって参加していた。それを裏切ったのだ。

 

 覚悟をつけて欲しい。技術がなければ製紙はできない。リサイクルもできない。だから、偽装をするかどうかは技術者が最初に決断しなければならない。

 

 従業員たるもの社長の命令は聞かなければならないが、それが社会的に許されないものなら、社命でも聞いてはいけない。私たちは社員である前に技術者であり、そして日本国民なのだ。

 

 社長が人を殺せと言っても、プラントに火を放てと言っても聞いてはいけない。それは社会的な悪だからだ。

 

 立ち上がって欲しい。公表する勇気を持って欲しい。

 どこで偽装をはじめたのか。それはどういう経緯だったのか。技術者は良心と職務に対する忠誠心こそが辛い仕事を支える。

(平成20211日夜、執筆)