日本では100年間に約2℃ほど気温があがり、南北に長い国土を持つ日本では、「気温」についてはほとんど何も心配することは無いことが判りました。

 

 少しホッとしたというのが今の気持ちです。今までも余り酷いことにはならないのではないかと思ってはいましたが、あまりひどいような報道もあるので、もう一度、整理したいと思ったのです。

 

つまり、気温が上昇しても日本列島全体が少し南にずれることと同じなので、「地球規模」で何かが起こることと違うことが理解されます。

 

 ところで、IPCCには複数の部会があり、それぞれの任務に応じて、温暖化によって起こる問題点を予測していますが、それを「地球規模のもの」と「部分的に起こること」の2つに分けてみたいと思います。

 

 「地球規模」とは、かつて多くの報道があったように「海水面が上がる」というようなことを言い、「部分的」というのは「高山植物が減る」というようなものと考えてください。

 

 まず、第一作業部会の報告では、全世界的に温暖化で確実に起こることは「夏の暑い日が増えて、冬の寒い日が減る」ということですが、これについては、温帯の島国で南北に長いので、日本では被害がほとんどでないことがわかりました。

 

 次に「必ず起こる」ことはないけれど、「可能性の高いもの」として、第一作業部会では熱波、大雨、干ばつ、熱帯低気圧の発生、高潮を上げていて、これらのことは更に細かく第二作業部会が検討しています。

 

IPCCの第二作業部会は、気候、気象の変化に伴う生活・生態系などの変化を羅列して検討していますが、日本で第二作業部会の報告が報道される時には、「どこの地域では」というのが省略されるのが普通です。

 

 たとえば、「春の作物の植え付け時期の早期化、自然発火や害虫による森林の自然更新」が起こると報告されていますが、その前にIPCCの報告では「北半球高緯度」という限定条件がついており、具体的にはカナダ、シベリア、北ヨーロッパなどの問題であり、日本はほぼ関係ありません。

 

 また、同じ報告で「熱関連の死亡率、感染症媒介生物、アレルギー誘発性花粉」の増加については、ヨーロッパと北半球のシベリアとかカナダですし、雪や氷の影響は北極圏や山岳スポーツに限定されています。

 

 だから、これも日本には関係ありません。(日本に関係ないから「良い」と言っているのではありません。まず、第一に何が日本と関係があるかを整理しているだけです。整理は、順序よく、あまり先入観を持たずに整理して、その結果をもう一度、考えるという手順で進みます。)

 

 次に、スイスなどの山岳地域での生活、アフリカのサヘル地域、マングローブの影響などが指摘されていますが、これも限定的で、日本には関係がなりません。

 

また、温暖化によって水資源に影響があるとされていて、世界の人口の6分の1が居住している山岳地帯からの氷河および積雪の融解によって水を得ている地方に水不足が起こると指摘されています。

 

つまり、雪や氷が融けて、その水を使っているところは温暖化して雪などが減るので水不足が起こると言っていますが、日本は雨で水を得ているので影響はほとんどありません。また、水は運搬できないので、日本の水源が十分なら問題はありません。

 

 さらに、動植物の絶滅については、開発途上国でまだ動植物の種類が豊富なところで影響がでるとされています。日本のように、すでに十分に開発され市街化されている場所は、人間の活動ですでに動植物がいませんから、影響はほとんどありません。

 

 日本では、温暖化で作物が減収するという報告もありますが、IPCCの第二作業部会は、温度の上昇が1℃から3℃の場合、農作物はむしろ増えると予想していますので、日本では増収と考えたら良いでしょう。

 

 次に、干ばつと洪水による」被害ですが、報告書では「低緯度域の自給農業部門に悪影響を与える」とされ、つまり、熱帯地方の原始的農業が被害を受けるということなので、これも、日本には関係がありません。

 

 漁業については、海水温度が若干、上がることによって固定的な養殖や淡水漁業に限って、対象魚を変えなければ被害が出るとしていますが、海水が変わってもまったく育てるサカナの種類を変えなければ被害がでるのは当然でもあります。

 

 でも、日本ではいつも改善に努めていて、養殖でも適切なサカナをいかに効率的に育てるかを考えますから、大丈夫です。このように「何もしなければ被害が出る」というのは、あまり考えに入れなくても良いでしょう。

 

 気候の変化があればそれに応じて作物を変えるのは太古の昔から行われているので、最近では「補助金がもらいたい」ということで、気温の変化でも作物を変えるのを嫌がる人がいますが、あまり感心しません。

 

 最後に、台風などの熱帯性低気圧について整理をしておきたいと思います。

 

 ゴアさんの本に「日本の台風が増大した」という記述がありますが、これは台風は2004年だけ10ヶも上陸したので、それを取り上げています。そこで、台風の発生数、接近数、上陸数のグラフを下に示しました。

 台風の上陸数.gif

 すぐ判るのですが、台風の発生数、接近数は最近でも、特に変化していません。たまたま2004年に限って「上陸数」が多かったのですが、「接近数」は変わりません。日本列島をかすめて上陸した台風が多かっただけです。

 

 そしてその後はまた昔と同じ数ヶの台風が上陸しています。このゴアさんの指摘は、彼の本にありがちな「自分の説に有利なデータだけを示す」というあまり感心しない主張の仕方で、「日本人の誠」から言えば許されることではありません。

 

 このように、温暖化によって「日本がどういう被害を受けるか」についてはハッキリしていないことが理解されます。

 

私はむしろ温暖化によって「被害」より「利得」の方が多いような気もするのですが、これほど大勢の人が被害を受けると言っておられるので、もう少し慎重に検討を続けようと思っています。

 

(平成2029日 執筆)