国連の地球温暖化を担当する機関、IPCCは「人為的に出される温暖化ガス」の影響で、今後、100年間にわたって温度の上昇が続くと報告しています。これには多くの反論もありますが、現在のところ一番、客観的なので、IPCCの報告書から出発するのが誠意のあるデータの採り方と思います。

 

 その第四次報告に掲載されているグラフは次のもので、報告書の中心になるものです。

第四次報告温度図.jpg 

 

 この報告の図をじっと見ると二つの疑問が生じてきます。

 

まず第一に、NHKが報道した6.4℃というのがどこにも見あたらないことです。実はNHKIPCCの第四次報告の中に「特殊なケース」としてグラフにも乗せなかったA1FIというシナリオの幅のさらに最高値だけを報道しました。

 

なぜ、「普通に報道すれば良いNHK」が、「温暖化となると特殊なデータだけを伝える」のはNHKが行っている「環境キャンペーン」だからで、環境を破壊する方向の情報を伝えることが、環境を守ることになるとの固い決意を持っているものと思われます。

 

あるいは、NHKは環境税を取りたいとか、京都議定書の約束を守るということで政府から圧力を受けているのかも知れません。ともかく正確には伝えないのです。

 

  NHKはもしこれを「誤報」と言われたら「A1FIIPCCのシナリオの一部」と弁明すると思いますが、正確に事実を伝えるという意味ではIPCCがグラフには載せなかったような特殊な場合の、さらにその中でも「最高値」だけを報道するというのは「特別な意図にもとづく誤報、もしくは偽装報道」と分類されても仕方がないと思います。

 

   NHKの偽装報道も今後、良心的なNHK記者によって修正されていくと思います。また、NHKが極端な報道なら、グラフの一番下の線だけを伝えるのも無責任でしょう。これは2000年の温暖化ガス濃度で一定という線ですから、これも少し楽観的すぎるかも知れません。

 

その上の線は、いずれもIPCCが妥当な予測として出しているケースで、それによると2100年における気温は、1.4℃から4.0℃の範囲と予想され、もし平均を取れば2.7℃程度と言えます。

 

まず、私たちは「もっとも確からしい温度」を知らなければなりませんから、まず100年で2..7℃という温度を頭に入れる必要があるでしょう。

 

 もう一度、確認しますが、NHKが報道した6.4℃ではなく2.7℃です。この2.7℃は「なにかの特別な意図を持たず、普通にIPCCのデータを見た場合」と言うことですので、本来はこの温度だけが報道されていればずいぶんスッキリします。

 

 ところで100年後の気温ですから、2.7℃などという2桁の数字まで判らないので、より科学的に正しく表現すれば、「約3℃」というのが良いと思います。

 

 数字は一人歩きします。そこで科学的な結果を計算した人が最後に数字を出すときには、その数字の精度に気を配らなければなりません。たとえば、100年後の気温を計算した人が、「2.7℃にはなるが、2.8℃までは上がらない」と思えば、2.7℃として良いのですが、おおよそ2.7℃ぐらいと考えたら、約3℃の方が返って正確です。

 

 第二の疑問は、「温暖化によってある時、突然、急激に変化する」と言われることがあるのですが、IPCCの報告を見る限り、このグラフで示したように急激な変化はなく、「なめらかで徐々に温度が変化する」と考えられます。

 

 IPCC以外のことがマスメディアで報道され、「急激な変化が来る」という感じなのですが、IPCCは徐々に温度が上がっていって、どのケースでも「突然」というのはないことを、確認したいと思います。

 

学問としてはIPCC以外のデータの報告も必要とは思いますが、それを報道するときには「これはIPCCとは違う特別なデータである」と断った方が良いでしょう。

 

 世界中にはいろいろな立場や考え方の専門家がいますから、そのうち極端なデータを自分が得をする数字を適当に取捨選択したら「科学の衣を着ているように見えて、その実は何とでもなる」ということになるからです。

 

 まず、先に進むために、私としては「IPCC100年後に約3℃、気温が上がると予想している」、また「100年後までに急激な気候変動はない」と考えたいと思います。これはIPCCに基づいた普通の見方なので、異論が無いでしょう。

 

(平成2028日 執筆)