かつて、日本の家電メーカーは誠実だった。

 

たとえば松下幸之助だ。「お客さんは神様」という彼の言葉は、今では普通に感じられるが、かつては「そういわれてみれば、そうだな」と驚いたものだ。

 

 今でも松下電器が誕生した大工場の横を通る京阪電車の駅は急行がとまらない。「自分たちの為に急行を止めて、お客さんに御迷惑をかけたらいけない」という幸之助魂だろう。

 

 でも、名前がパナソニックになったからという訳でもないが、日本の家電メーカーは今、大規模偽装のなかで商売をしている。それも国民から膨大なお金をウソを構えて商売をしているのだ。

 

 家電メーカーの人で、お一人でも私のこの文章をお読みになり、過去の経緯もメンツも捨てて、再び誠実な家電メーカーに帰ることを決意する人が現れることを期待する。

 

 日本男児よ、立て!

 

 リサイクル紙の偽装問題で、日本のほとんどの製紙メーカーが偽装を白状した。大手5社全部だから、これは「どこかの会社に悪い社長がいた」というような類のことではなく、日本人経営者全体のモラルがいかに低下しているかを示している。

 

 どのようなモラルかというと、

「官庁や社会に迎合するためには、自分の魂を捨てても良い」

ということだ。紙のリサイクルはもともと無理なのだが、官庁が「グリーン購入法」を決めると、自分の魂を捨てて「はい、そうですか」ともみ手をしてすり寄り、100%リサイクル紙と言って半分ぐらいにものを売り、40%リサイクル年賀状といって新品の紙を売ってきた。

 

 私は製紙会社はむしろ被害者で、一番、悪いのは経産省と環境省だと言っているが、製紙会社も誠実ではなかった。大人なのだから、ダメなのはダメと言うべきだった。それで売り上げは減るだろうが、そこで自分の魂が試される。

 

 それと同じことが、今、大手家電メーカーで起こっている。それは「家電リサイクル」だ。

 

 かつて、家庭電化製品を捨てるときには自治体が世話をしてくれた。庶民から言えば、テレビも冷蔵庫も10年程度、使えば故障して使えなくなるし、テレビなどは新製品がどんどんでるからある程度の期間で買い替える必要がある。

 

 庶民は自分では捨てられないから、どうしても自治体に頼まなければならない。それをするのが自治体の大きな仕事だから、自治体も積極的にやっていた。その当時の平均的な処理費用は廃棄する家電製品一台当たり、おおよそ500円だった。

 

 ところが、ある時、(うわさでは)当時の経済産業省と日本の家電メーカーが作っている協会が、「廃棄する家電をリサイクルする法律を作ろう。500円を4000円ぐらいに上げれば、家電メーカーも助かるだろうし、国民が家電を捨てやすくなるから、売り上げも増える」と打ち合わせたと言われている。

 

 これも反論があるかも知れない。私はなんどもこのような「うわさ話」を聞いたが、警察のように捜査権がないので、直接、尋問することはできない。でも、制度を作った方は「李下に冠を正した」のだから、ゼッタイに打ち合わせなかったことを会議録などを示して疑念を払拭して欲しい。

 

 ともかく、家電製品は一年に2500万台も捨てられる。だから、一台500円ですむものを4000円もとれば、実に1000億円の儲けだ。

 

 「よし!」ということになって、「なぜ、家電リサイクルをするのか」というのを国民に説明しだした。その理由は「これまで「タダで」捨てていたが、廃家電製品には資源がいっぱいあるので、それを回収して、循環型社会を作る」という矛盾が一杯の説明をした。

 

 リサイクルする前は500円だった。それをリサイクルして「有用な資源」を回収できるなら、回収した資源を販売すればよい。それが100円なら500円が400円になるなら判るけれど、反対に4000円になるとはどういうことだ?

 

 でも、マスメディアもこれに同調し、「資源を回収しても、かえって高くなる」という奇妙な説明がそのまま通った。もちろん、家電リサイクルが始まる前には、多くの「天下り団体」ができ、「補助金をもらう研究者」が登場し、国民の税金はどんどん家電リサイクルに投じられた。

 

 そして、家電リサイクルがはじめると、まじめな日本人はテレビや冷蔵庫を捨てるときに3000円とか4000円を払うようになった。日本人は順法精神もあるから「法律で定められているなら」と払う。

 

 でも、事実はどうなっているのか?

 

 2006年、廃棄された2300万台の家電の内、実に50%以上が「違法、もしくは非正規」のルートで、捨てられたり、中国、ナイジェリア、アフガニスタン、フィリッピンなどに出ている。

 

 日本では廃棄物が外国にでるというと、すぐ「中国」を思い出すが、実は世界の多くの国に廃棄物がでて、そこを汚している。

 

 このことを家電メーカーは知っている。

 

 日本人の魂を裏切るこの行為は、多くの巧みな言い訳で切り抜けられている。たとえば「日本なら廃棄しなければならないけれど、古いテレビでも使う人がいるのだから」とか、「日本ではリサイクル資源を使う人がいないけれど、中国ならいるから」というような言い訳だ。

 

 ペットボトルでも同じだ。リサイクルするペットボトルに、キログラムあたり405円の日本国民の税金を使っているにもかかわらず、自治体や業者は中国に50円で売り、「儲かった」と言っている。

 

 私は「日本人の魂」、「約束は守る」だから、こんなのは、万が一、お金が儲かろうと、資源が有効に使われようと、人間にとって一番大切なことを守らないのだから感心できない。

 

約束を守る、それは人間として何より大切だ。

 

 ところで、外国に持ちだされた家電は、解体される。劣悪な環境、鉛の蒸気が漂う大気・・・このことはすべて「大手家電メーカー」がよく知っていることだ。

 

 さらに、大手の家電量販店である、コジマ電機が消費者からリサイクル料金を取って横流しをして2億円7000万円を儲け、ヤマダ電機はこともあろうに、日本国内の中古家電メーカーに横流しした。

 

 でも、ここで書きたいのは「不当利益」でも、「外国の環境を汚す」ことではない。日本が誇る産業、大手、家電メーカーはこの現状を知っていて、まだ家電リサイクルを続けているのだ。

 

 それだけではない。先日、家電リサイクルの不合理を話す機会を得たのだが、日本の大手、家電メーカーと、大手、広告メーカーが私に話さないように言ってきた。私に圧力をかけてきても、まったく応じないので関係ないが、これもまったく感心できない。

 

 国民は事実を知る権利がある。そして家電メーカーにとって都合の悪いものこそ、積極的に話してもらった方が良いはずだ。私はその人たちに「具合が悪ければ、よけいに話を聞いた方が良いのではないか?」と言ったが、「会社の方針」ということだった。

 

 経済産業省に遠慮したのだろう。でも、なぜ遠慮しなければならないのか?大手、家電メーカーは裏で経済産業省と何か悪巧みをしているのか?許認可権をもっている経済産業省のご機嫌を損ねたら収益が減るというなら、そんな経済産業省はかつての大蔵省のように解体しなければならないだろう。

 

 官庁は国民の為にある。大きなメーカーも社会的責任がある。

 

 国民から8倍のお金を取り、天下り団体を作り、お金を取って外国に流し、環境を汚し・・・それが判っている家電リサイクルに大手、家電メーカーは参加を続けるのか? 

 

 それほど「お上」が怖いというなら、お上からなにをもらっているのだろうか?

 

 家電メーカーは、「私たちはただ、家電を作っているだけ」というような不誠実な答えではなく、大人として、日本人として、誠実な家電製造会社として、家電リサイクルから離脱して欲しい。

 

 環境を守るのも大切だが、より大切なのは誠実な日本の社会をまもることだ。

 

(平成2021日 執筆)