環境省には悪いが、地球温暖化を防ぐために行っている「チームマイナス6」という運動は、「台風を止めよう」というのにそっくりだ。

 

 大きな台風が少しずつ日本に接近している、風も強いし暴風雨の範囲も広い、きっと上陸したら大きな被害を出すに違いない。だから・・・「みんなでボートに乗って台風を止めに行こう」という活動は意味がない。

 

 できるものはできるが、できないものは出来ない。

 

 地球温暖化も同じだ。地球温暖化は、今後の日本に被害をもたらす可能性があるし、その原因は二酸化炭素が主たる原因とされている。

 

 だから・・・ここが問題だが、だから二酸化炭素の出す量を減らせば、地球温暖化が防止できるかというとそれは違う。

 

 二酸化炭素の排出量を減らして地球温暖化を防ぐためには、全世界の3.7%しか出していない日本がいくら頑張ってもムダである。京都議定書という条約は死に体になっている。

 

 日本では政府が京都議定書を守ろうと報道規制をしているので、多くの国民が正しい情報に接していないが、たとえばドイツは京都議定書で表面上、8%の削減を約束したようになっているが、実質は11%の増加を確保した。

 

 ロシアに至っては38%の増加を獲得し、カナダは石油資源活用の関係もあり途中で京都議定書の制約を守らないと宣言している。アメリカはもともと批准していない。

 

 京都議定書の事情はとても複雑なので、詳しくは拙著(環境の本のパート2)をご覧いただくか、ネットでも少しずつ執筆していきたいと思っているが、ここでは「京都議定書で、二酸化炭素を削減しようとしている大国は世界広といえども日本だけ」であることをまず明記しておく。

 

 そうすると、世界で3.7%を出している日本だけが6%(0.037*0.06=0,00222・・・温暖化はどうも数字が並ぶ)を削減しても全く温暖化防止には役立たないことは明白である。それは、ちょうど「台風で被害が出そうだからボートをこぎ出して台風を止めようとしている」のと全く同じである。

 

 科学が発達して人間が傲慢になり、何でも出来ると錯覚しているのだろう。でも人間が出来ることはほんの僅かで、まして世界の中で日本人が出来ることは少ない。

 

 日本だけでも率先してやれば他の国も協力してくれるという歴史も世界政治も知らない人おられるが、アメリカやヨーロッパのような白人国家が日本に学ぶと言うことはあり得ない。

 

また、中国やインドのようにこれから発展しようとするアジアの国も日本人一人あたりの二酸化炭素の排出量が断然多いのに、日本が6%ぐらい削減したからと言って自分たちの発展を押さえることはない。

 

 そうすると地球は温暖化する。

 

それは止めることが出来ないから、その被害が広がってどうにもならないところまでこないと国際的な協定は出来ないだろう。その時までに日本が削減していると、それを基準にされるから「今の私たちが頑張れば、私たちの子供が苦労する」という奇妙な関係になる。

 

 つまり、台風が来る時、まずするべきことは、強風や大雨の対策を打つことだ。つまり地球の温暖化対策とは二酸化炭素の削減ではなく、温暖化そのものの対策である。

 

 たとえば夏の気候が暑くなっても熱中症の患者がでないような街作りをしておくとか、灼熱の下でやる高校野球を季節の良いときに変えるとか、気象庁が最高気温が37度以上と予想した時には一斉に休業するなどのハード、ソフトの政策である。

 

 台風では当たり前のことになっているこのような対策が地球温暖化では全く違うことをやっているのはよほど頭が硬直化して、「地球温暖化防止=二酸化炭素排出削減」という等式が頭にこびり付いているのだろう。

 

 環境問題は多様である。もともと硬直化した頭脳では環境問題には対処できない。