8億人の飢えた人がいて、8億人の自動車に乗りたい人がいる。

 

 目の前のテーブルに収穫した黄金色に輝くトウモロコシが置いてある。草原の片隅で小さな火をおこし、そこでこのトウモロコシを焼けば香ばしいかおりと甘く独特の歯触りを味わえるだろう。その日はそれで幸福感に浸ることができる。

 

 でも、この美味しいトウモロコシはトラックに積まれてバイオエタノール工場へ持って行かれる。そこでエタノールが作られ、そのままガソリンと混ぜられて自動車が食べる。

 

とう2.jpg このトウモロコシを自動車が食べるのか!?

 トウモロコシを8億人の飢えた人に渡すより、8億人の自動車に乗る人に買ってもらう方が、売る方にとってはお金持ちになる。飢えた8億人の人はお金を持っていないし、8億人の車のオーナーはお金持ちである。

 

経済学は自動車に食べさせる方を選択する。かくして「バイオエタノールは環境に優しい」という結論が得られる。経済学にとって環境とはお金が儲かることだから。

 

 経済学には魂がない。経済学には誠がない。ただ、信奉しているのは「お金」である。本当は経済学には魂も誠もあるのかも知れない。でも、魂と誠をその理論に組みこんだ経済学を作る人はいないようだ。だから、結局、「お金の儲かる方が正しい」という結論に達する。

 

 でも、お金は人間の道具であり、人間がお金の奴隷ではない。

 

つづく