2007年に起こった新潟の地震は数年間に二度の大きな災害となり、新潟の人は本当に大変だ。そしてさらに柏崎の原子力発電所での放射線漏洩があり、地元の人に与えた影響は大きい。

 

 でも、ニュースでは伝えられていないが、日本の原子力発電所は「強い地震が来れば、付近の人は被爆する」という前提で作られている。そのことを、2006年の52日に行われた、

 

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の速記録を引用してはっきりしておきたいと思う。

 

 私は内閣府原子力安全委員会の専門委員で、この専門部会に出席していた。議題は原子力発電所の耐震指針である。

 

 日本の原子力行政は実に公明正大に行われていて、この会議もまた速記録もすべて公開である。だれでも聴講ができ、会議に行くことが出来ない人も速記録をネットで見ることができる。素晴らしい制度であり、お役所の努力でまったく正常に運営されている。

 

 さて、会議では耐震指針が説明された後、私は次のように質問している。

 

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 つまり、原子力発電所の耐震指針とは、周辺の住民の安全の指針なのか、炉の建築物の指針なのか、ということである。

 

 もちろん、最終的な目的は住民の安全だが、仮に建築物だけの指針であれば、発電設備の周りの変電設備やドラム缶、送電線など炉の建築物に無関係のものは耐震指針がないことになるからだ。

 

 答えは難しかったが、建築物の指針と解答があった。これが今回の事件の大きさにも関係していた。

 

 次に、地震は小さい地震や大きい地震がある。原子炉の耐震指針はだいたい、震度で言えば6ぐらいが目安で作られていて、6強と7になると壊れる。ガルで言えば350から400ぐらいであり、阪神大震災のように600にもなると壊れる。

 

 

 そこで私は次の質問をしている。

 

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 この質問の意味は、大きな地震が来たら原子炉はダメなのだから、それをはっきりしておいた方が良いということである。

 

 さらに質問が許されたので、しばらくした後、私は「住民が被爆する基準を認めるのだから、設計者や審査の方も同じような責任を負う方が良いと希望を述べた。

 

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 でも、採用はされなかった。それは仕方がないが、日本の原子炉の安全指針は、

1)建築物にはある。

2)住民が被爆しないということはない。

3)被爆の危険性のある場合、逃げる方法やヨウ素剤などの被害を少なくする方法が決まっていない。

などの問題点がある。

 

 これらは発電所のある地元に伝わっていると思っていたが、2007年の地震の後の自治体の様子を見ると地震に対して原子炉が安全と思っていたらしいので、私はむしろビックリした。

 

 日本の原子力行政は透明だ。これは素晴らしいことだが、透明性があるのに、それが有効に生かされていない。特に、この会議にはマスコミも来ていたので議論は知っているはずであり、それにしては報道も「原子炉は地震で壊れる」ことを報道していないように感じられる。

 

 でも、このような微妙な問題を審議する委員会が公開で、議事録を誰で見ることができ、さらに私がネットで論評を加えることが出来るということは日本の原子力行政が、民主自主公開の原則を堅持している事を示している。これが守られているかぎり希望はある。

 

おわり