食品添加物 

 

 「食品添加物」は危険だと思っている人が多いと思う。でも、本当は危険ではない。それでも心配している人が多いので、「暮らしの鱗」シリーズの最初に「食品添加物」について書くことにした。

 私は食品添加物のメーカーから何か貰っているわけでもないし、私自身はあまり食品添加物を使わない方が良いと思っている。でも「使わない方が良い」ということと「危険である」というのは違う。食品添加物は安全である。

 なぜ、安全なのかということを説明したい。

1) 食品添加物で健康障害などがほとんど出ないから。

 「実績」というのは大切で、危険なら健康障害が生じる。ところが、戦後、既に60年近く、かなり荒っぽく食品添加物を使い、多くの国民がそれを口にしてきたのに、幸い、食品添加物による健康障害はほとんど無かった。

 死んだ例は一例だけだが、それは非常に特殊なケースで、「甘味料」として添加されていたズルチンをそのまま使って団子を作り、食べた人が一人亡くなった。お醤油でもお刺身にかければ毒ではないが、そのままコップに注いで飲んだら毒になる。そんな例が一例あるだけだ。

2) 危険と思われたものにも発ガン性がなかった。

 飲んですぐ死ぬというようなものでなくても、ガンに罹り易くなったり子供の将来に悪いのではないか?というのが食品添加物の不安でもある。でもそれも違う。

 発ガン性があると騒がれた食品添加物は多い。例えば代表的なものは「チクロ」である。チクロと聞けば「危険な食品添加物。人工甘味料」とピンと来る人が多い。ネズミに膀胱ガンを引き起こすとされて1969年に禁止された。

 でもこれは間違いだった。サルを使った実験が20年ほどにわたって慎重に行われ、2000年に発ガン性が無いことが発表された。朝日新聞も2000年の9月20日の朝刊で報道している。

 でもまだネットなどには「チクロは発ガン性」と書いてあるものもあり、人を不安に陥れている。人には人の考えがあるから、食品添加物を使うのを嫌がるのは勝手だが、間違いはいけない。それも学問的に間違っていることをあたかも正しいように言ってはいけない。「意見」と「事実」は違う。

 だから本当はチクロは甘味料として使えるのだが、今は使っていない。なぜなら、濡れ衣をはらすことが難しいからだ。このようにほとんどの「有毒な食品添加物」というのは濡れ衣だった。そして今は、さらに慎重に添加物を厳選しているので安全である。

3) 食品添加物を使わないと大勢の人が死ぬ。

 現代は遠い国から食品が運ばれてくる。だからこそこれほど安く、スーパーには山のように食品が積まれている。もし食品添加物を使わなければ食中毒で多くの人が犠牲になる。特に抵抗力のない幼児や老人が痛む。だから食品添加物は使わなければいけない。

 食品添加物が原因で死んだのはこの60年で1人だが、昔は食中毒で1年に1000人近くの人が死んだ。そろそろ錯覚するのを止めて、食品添加物は安全で必要なものだと認識し、幼児や老人のことも考えて排斥運動を止めた方が良いだろう。

 私は食品添加物など気にしたこともない。でも、誤解が無いように付け加えておきたい。

 日本人はお金を儲けたいので、日本で農業をやらない。近くの畑はみんな潰してお金に関係のあるものにしている。だから日本は「畑の面積基準」で食料の自給率は25%しかない。こんな金亡者(かねもうじゃ)の国は日本しかない。

 私の見解では「食」というのは自分の住んでいる国土から取れるものでなければ健康に悪いと考えている。それは土の成分等からそう思う。だから外国から輸入したものを食べながら食品添加物の危険性を言うのは見当はずれである。食料を輸入すること自体、危ないのだ。

 私は新鮮な食品を自分の住んでいる近くの畑から取り、その結果として食品添加物が減るということが大切だと思う。そのためには私は給料が半分になっても良い。

おわり