交差点

 

・・・赤信号 みんなで渡れば怖くない・・・

 確かにその通りだ。悪いことをするにも一人ですると、ひどく罰せられる。昔は裁判所で判決を受けたものだが、最近ではテレビのキャスターに正義感の強い人がいるので、そこでこっぴどくやられる。まだ、警察も動かず、逮捕もされず、まして起訴もされていないのに、テレビでは犯罪者扱いである。

 本当は起訴されても裁判で無罪かも知れない。でも、みんなが悪いと思うことをしたようだったらそれだけで徹底的に叩かれる。その罰は裁判の判決よりひどく二度と立ち上がれない。

 でも犯罪もみんなでやればなんということはない。私の専門で言えば「水素自動車」である。「水素自動車は二酸化炭素を出さない環境に優しい自動車」などと偽装をして国の税金をかすめ取る。それでも「みんなでウソをつけば怖くない」。マスコミも相手が強ければ矛を収める。

・・・交差点 そんなに急いでどこ行くの?・・・

 正しくは「交差点」ではなくて「狭い日本」だったような気がするが、どちらでも変わらない。赤信号なのだから1分も待てば信号は青になる。青になってから渡るのなら、「みんなと一緒」でなくても「左右を見てビクビクしながら」でなくても、堂々と一人でゆっくりと渡れるのに、「そんなに急いでどこに行くの?」と聞きたくなる。

 日本でエレベータに乗ると必ず「閉」というボタンを押さなければならない。自分がドアの近くにいたら尚更だ。エレベータの箱の中にいる人は「この人、なんでボタンを押さないのか?」と訝しい顔で見る。みんな、急いでいるのだ。

 ヨーロッパでエレベータに乗って「閉」のボタンを押していると、そのうち、親切な「外人」がこう教えてくれる。「あー、ボタンを押さなくても閉まりますよ」と。「ああ、そうですか!」と私はエレベータに乗ったことがない田舎者のように返事をする。

 ヨーロッパのエレベータで「閉」のボタンを押す人を見たことがない。みんなエレベータに乗ると自然にドアが閉まってくれると信頼している。そんな時に「ボタンを押した方が早く閉まりますよ」などと言おうものなら「えっ!でもすぐ閉まりますよ」と怪訝な顔をされる。

・・・交差点 みんな行くとこ、あるんだな・・・

 これはなかなか良い。赤信号を急いで渡る、そんなに急いでどうするの?・・・いや、みんなは急いでいる。急いでいると言うことは行く所があるんだ。急いで行く所があるなんて、なんて幸せなのだろうか!私は交差点を急いで渡る必要はない。だって、私には行く所がないんだから。

 人間というのは、人生というのは行く所を考えてはいけない。行く所を作ってはいけない。そうするとこのホームページに良く登場する藤村 操になる。人生は行く所があるものではない。やることがあるだけだ。そしてその「やること」とは「行き先」が決まっていたら悲惨になる。

おわり